勇者の戦い
勇者は魔王の城へ向かう前、ふと体調の悪さを感じ、村の病院に立ち寄った。
「血圧高めですね。あと、胃に腫瘍の疑いがありますよ」
医師の言葉に勇者は青ざめた。
「待ってください! 私は今から魔王を倒しに行くんです!」
「魔王? ああ、あの地下3階の精神科にいる患者ね。毎週『世界を征服する』って騒いでる人」
勇者は呆然。
つい先日、その「魔王」が投げた紙飛行機が頭に当たって以来、記憶が混乱していた。
検査結果を見た看護師が苦笑う。
「あなたも、彼の妄想に巻き込まれてるみたいですね。とりあえず入院しましょう」
数日後。
白い部屋で、二人の「勇者」と「魔王」が将棋に興じていた。
「次は、看護師長を倒すぜ!」
「了解だ、相棒。薬の時間までに終わらせよう」
世界の平和は、病棟で保たれていた。
へいへーい