Scene9
その日の夕方、3人は弥生神社の境内にいた。
リク「それで、何で神社なんだ?」
ナオ「だって、2年後の今頃はみんな大学生でしょ。お互いに志望校に入って、キラキラした大学生生活を送れるようにお願いするためよ。」
リクはケントの方を見ながら言った。
リク「だって。」
ケント「何?」
リク「要するに、ナオはケントに頑張って欲しいんだよ。」
ケント「オレ?」
リク「ケントがなかなかやる気を出さないから、これを機に頑張れっていることだ。」
ケント「頑張れって言われると、ミクちゃんのことを思い出す。ミクちゃーん。」
そう言ってケントはミクを抱きしめるような仕草をした。リクはケントの言ったこと無視してナオの方を見た。
リク「そうだろ?ナオ。」
ナオ「まあ、それもあるけれど、2人とも幸せになってほしいし、ここに3人で来るのって幼稚園以来じゃん?」
ケント「そうだ。オレ、そんときここでバスケしたわ。オレのバスケ人生の原点はここにある!」
リク「はいはい、将来テレビでケントの特集があったらここに来るようにしような。」
ケント「なぬっ?!」
そう言ってケントは目をキラキラ輝かせながら変顔をした。それを見てリクとナオは笑った。
――
3人は石段を登り始めた。
リク「神社の階段って、何でこう急なんだろうな。」
ケント「リク、運動不足だろ。」
リク「ケント、筋肉バカだろ。」
ナオ「ケント、脳キンだろ。」
3人は笑った。
ケント「お腹すいたな。」
ケントはそう言ってカバンの中からラムネを取り出した。
ナオ「お参りする前にお菓子食べるとか罰当たりじゃない?」
ケント「お賽銭はちゃんと奮発するから大丈夫!」
リク「そういう問題か?」
ケント「うん、そういう問題。」
ナオ「ラムネを我慢できないだけでしょ。」
ケント「バレた?」
リク「でも、今食べちゃったら後で辛くならないか?」
ケント「大丈夫。」
そう言うとケントはバッグの中を見せた。バッグの中にはラムネがたくさん入っていた。
リク「ああ、まあ、それだけあるなら今から食べ始めないとな。」
ケント「だろ!?」
3人はまた笑った。