Scene5
次の日の朝は、リクが座席に座っていると、ケントが話しかけてきた。
ケント「リク、おはよう!」
リク「おはよう・・・。」
ケントはリクの顔をまじまじと見ながら言った。
ケント「何だよリク、浮かない顔をして。」
リク「え?そんな顔してた?」
ケント「してた、してた。何かあったのか?」
リク「何かあったって言う訳じゃないんだけど・・・。」
ケント「だけど?」
リク「なんて言うか、オレって、このクラスでもっとワクワクしてるはずっていうか・・・。」
ケント「は?してるはずってなんだよ?」
リク「まあ、そういうリアクションになるよな・・・。」
リクは遠くを見ながら言った。
ケント「何かいいことでもあって、それを忘れたとか?」
リク「いや、あったはずなんだが、それがない気がするんだ。」
ケント「うーん。この盛り上げ上手で、親友で、みんなを幸せにすることができる、オレ様と一緒にいてワクワクできないのか?」
リク「いや、そういうことじゃないんだ。ケントと会えるのはワクワクするぞ。それとは別に、オレって、この学校で、高3のとき、もっとワクワクしてたような気がするだ。」
ケントはあごに手を当てて考えた。
ケント「悪い、お前が言ってることが全然分からない。」
リク「いや、ワクワクする時ってあるじゃん?実際、ワクワクしてるんだ。でも、何でワクワクしてたんだけって、その理由を思い出すことができないみたいな?」
ケント「そっか。じゃあそれはそれとして。だったら、そのワクワクでない理由を思い出すしかないな。」
リク「だよな。」
ケント「だよ。」
リク「悪い、変なこと言って・・・。」
そこにナオがやってきた。
ナオ「ねえ、今から校庭に白線引くの手伝ってくんない?」
2人はナオの方を見た。そしてケントはナオを指差しながら言った。
ケント「そのワクワクしない理由ってさー、この人が原因とか?」
リク「え、そうなのかなー?そうなのかも?」
ナオ「何それっ?意味分かんないけど!とりあえず失礼じゃない!?」