Scene48
アリスは喫茶店でコーヒーを飲んでいた。カウンターでイリアがコーヒーカップを拭いていた。
アリス「ねえイリア、イリアってここにはどれくらいいるの?」
イリア「もう3年目になったわよ。」
アリス「結構、長いんだね。」
イリア「何かそれ、ちょっと失礼ね。」
アリスは苦笑いしながら誤った。
アリス「ごめんなさい。」
イリア「でも、何でそんなことが気になるのよ?」
アリス「いや、ここはいいところだなと思って。」
イリア「ここっていうよりも、アリスが出会った人がいい人たちなんじゃない?」
アリス「いい人たちだよ。いい人過ぎるのかも・・・。」
イリア「じゃあ、移住して来ちゃいなよ。」
アリス「イリアはここにどれくらいいるつもりなの?」
イリア「まあ、会社から派遣されて来てる訳だし、会社の都合もあるけれど、私はこのまま残りたいって思ってるわ。その申請もしてるし。」
アリス「じゃあ、私が帰ってきたら、イリアここにいるかもしれないんだ。」
イリア「そうね。その可能性は高いわね。」
アリス「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
イリア「何?」
アリス「移住してきた人が結婚した事例とかってあるの?」
イリアは驚いてコーヒーカップを落としそうになった。
イリア「何よ!出し抜けにっ!?」
アリス「ごめん、ごめん。ちょっと気になって。」
イリア「いないことはないわよ。」
アリス「それでさ、もし結婚するってなったら、やっぱり私たちって自分たちのことを詳しく話すの?」
イリア「詳しくって?」
アリス「私たちのこと、本当のことを話すのかなって?」
イリア「そりゃ、人それぞれなんじゃない?言わなくても特に不都合はないし。まあ両親や家族がいないことにはなっちゃうけど、その辺はそれなりの戸籍を用意すればいいだけだし。」
アリス「じゃあ、本当のことを話す場合は?」
イリア「そっちの方が大変よ。まず申請に通らないといけないし、申請に通ったら身体ひとつで移住してこないといけないでしょ。それに家族とは会いにくくなるしね。」
アリス「そっか。」
イリアは意地悪そうに言った。
イリア「何?いい人でも見つかったの?もしかして、この前連れて来た人っ!?」
アリス「いや、そんなんじゃないと思うんだけど・・・。」
イリア「でも、アリスはまだ若いんだから、そんな将来のことを決めるのにはまだ早すぎるわよ。」
アリス「いや、可能性ってあるのかなと思って・・・。」
イリア「まあ、何かあるとしても、それが実現するのは何年も先になるから、そんな深刻に考えなくてもいいと思うよ。」
アリス「でも、みんなすごく親切にしてくれるし。私も真剣に考えないとって思って。」
イリア「アリスって真面目よね。じゃあこう考えることにしよう。もしその人と結ばれるなら・・・。」
アリス「そんな結ばれるとかじゃいから・・・。」
イリア「・・・結ばれるなら、どんなことがあっても結ばれるの。結ばれないなら何をしても結ばれない。そいうことにしておきなよ。どうせアリスだけじゃ決められない問題なんだから。」
アリス「そんな運命みたいものなんて、あるのかな?」
イリア「ちょうどいいじゃない?有るのか無いのか分からないんだったら、50%の確率であるってことになるでしょ?これはもう、ほぼ有るってことよ!」
アリス「そうなの?それ全然納得いかない。」
イリア「だから、分からないっていうことは、50%も確率があるのよ。」
そう言ってイリアは笑った。
アリスは喫茶点の窓から夜空を眺めながら思った。
アリス(きっと、あの人も納得できないって言うわよね。)




