Scene44
リクは自分の中にある記憶をたどってみた。
リク、ナオ、ケント、そしてアリスの4人は、学校帰りに駅前のバーガーキックに立ち寄った。注文カウンターの前でメニューを眺めているとケントが言った。
ケント「よし、ついに来たぞ!バーガーキック!みんな、オレに着いてこい。ここはオレの庭みたいなもんだからな!」
アリスは笑って言った。
アリス「庭って、ケント、初めて来たんじゃないの?」
ケント「細かいことは気にするな!男には根拠のない自信が必要なんだ!」
ナオ「根拠のない自信って、つまりは勢いだけっていうことでしょ。」
リク「ケントが勢いだけはいつものことだしな。」
ナオとリクは笑った。
4人はメニューを見ながら何を注文するか悩んでいた。
アリス「んー、どれにしようかな。テリヤキハッパーとか美味しそうだけど、チーズハッパーも気になる。ケント、どれがオススメ?」
ケント「決まってるだろ!男ならダブルハッパーチーズ一択!」
アリス「でも私、男じゃないんだけど?」
ナオ「それな。女子のニーズも考えてあげて。」
ケント「アリスだってガツンとしたの食べた方がいいだろ?バーガーキックの魅力は、その直火焼きの味なんだから!」
アリス「・・・その直火焼き、さっきからすごい推すけど、実際どれくらい美味しいの?」
ケント「それはもう、炭火の神様が微笑むレベルだ!」
ナオ「炭火の神様って初めて聞いたぞー。」
リク「アリスにはベーコンチーズハッパーをオススメしとく。ほどよいボリュームで食べやすそうだし。」
アリス「なるほどね。じゃあ、それにしようかな。」
ケント「おいっ!オレの炭火の神様は無視かよっ!?」
4人はそれぞれの商品を受け取り、席に座った。
ナオ「見てこれ、でかい!手より大きいんだけど。」
アリス「ほんとだ。これ、口に入るのかな・・・?」
ケント「大丈夫!バーガーキックのハッパーは挑戦する価値がある!」
アリスは恐る恐るハッパーにかぶりついた。
アリス「うわっ・・・おいしい!ソースもお肉もすごい!でも、トマトが溢れ出てくる!」
ケント「そう!それがバーガーキックの洗礼だ!」
アリス「洗礼があるなら先に言っておいてよ。」
アリスの様子を見ていたナオは、ほのぼのとした表情で言った。
ナオ「顔にソースを付けてるアリス、なんか子供みたいでかわゆすなー。」
アリス「えっ、どこ?どこについたの?」
リク「ちょっと待て、拭いてやるから。」
リクはナプキンでアリスの顔を軽く拭いてあげた。
アリス「ありがとう。」
その様子を見ていたケントが言った。
ケント「おいおい、リク。いつから君はそんな紳士的なキャラになったんだ?」
リク「別に・・・そんな特別なことじゃないだろ?」
ケント「へぇ、じゃあリク、オレの頬にもソースがついたら同じように拭いてくれるのか?」
リク「いや、それは遠慮しとく。」
ケント「ほら見ろ!アリス、リクの優しさには選別基準があるらしいぞ!」
アリスが冗談っぽく言った。
アリス「えっ、そうなの?私だから特別とか?」
リク「べ、別にそんな意味じゃないからな!」
ケント「ほらほら!照れてるぞ~。これはもう、バーガーキング恋愛物語の開幕だ!」
ナオは笑いながら言った。
ナオ「ケント、恋愛物語とか言いながら、一番楽しんでるのあんたでしょ。」
ケント「もちろんだとも!オレは愛のキューピッド兼、最高の実況者だからな!」
アリス「じゃあ次、ケントの顔にソースがついたら、リクに拭いてもらう場面を実況してよ!」
ケント「いやいや、それはオレでも遠慮するわ!」
4人は笑った。リクは恥ずかしそうにしつつも、心の中でアリスの笑顔に少し嬉しさを感した。4人は食べ終わり、バーガーキックを後にした。
アリス「でも、本当に美味しかった!今度また来たいかも。」
ナオ「うん、次はもっと違うの試してみようかな。」
ケント「その時はオレが、もっとバーガーキックの魅力を教えてやる!」
リク「ケントが押しつけすぎないことを願うけどな。」
アリス「まあ、押しつけるくらいの情熱がケントのいいところ・・・かな?」
ナオ「アリス、そこフォローするんだ。」
みんなで笑いながらバーガーキックでの楽しい時間を振り返った。
駅のホームで電車を待ちながらケントが言った。
ケント「オレ、バーガーキックでバイトしようかな。直火焼きのプロになりたい!」
ナオ「ケントの直火焼き愛、どんだけだよ。」
リク「あと直火焼きって言うのもう禁止だな。」
アリス「作るのよりも売る方が合ってるんじゃない?だってケント、これだけ押しつけがましいんから」
アリスがそう言うと4人は笑い合った。