Scene41
ナオ「ねえ、ケント。」
ケント「ん?何?」
ナオ「もしさ、私たちが突然、異世界に行くことになったらどうする?」
ケント「異世界?」
ナオ「そう。例えば、魔法が使える世界とか!」
ケント「・・・ナオ、漫画の読みすぎじゃないか?」
ナオ「いいじゃん、たまには真面目に妄想しようよ!」
ケント「いや、それを真面目って言うのか?」
ナオ「でさ、もしケントが異世界で勇者になったら、どんな武器を持つ?」
ケント「武器か・・・。うーん、やっぱり剣かな。かっこいいじゃん、勇者といえば剣だろ?」
ナオ「えー、普通すぎる。ケントなら、なんかもっと変な武器持ちそうだけど。」
ケント「変な武器って何だよ!?」
ナオ「・・・巨大なおにぎりとか?」
ケント「おにぎりっ!?」
ナオ「そう。戦いながら『これでも食らえ!』って相手におにぎりを投げつける勇者!」
ケント「・・・いや、それ絶対敵が喜ぶじゃん。それだと敵に塩を送るじゃなくて、敵に米を送るになるな!」
ナオ「でも私、おにぎり作るの得意だからさ。」
ケント「そういう問題じゃないだろ!」
ナオ「じゃあさ、魔法が使えるって設定なら、どんな魔法がいい?」
ケント「うーん・・・瞬間移動とか便利そうだな。」
ナオ「ケント、地味だね。」
ケント「地味って何だよ!?いや、瞬間移動めっちゃ便利だろ?それに瞬間移動って、たまにいい場所に移動できることがあるじゃん!」
ナオ「いい場所って?」
ケント「女風呂とか?」
ナオ「何でそんなピンポイントで変態なのよ!」
ケント「ありそうじゃん?魔法の制御に失敗して、女風呂にポンッて現れる勇者ケント!」
ナオ「もういい・・・。」
ケント「逆にナオはどうするんだよ?異世界で何になりたい?」
ナオ「私は、竜の飼育員とか!」
ケント「竜の飼育員!?また変な職業だな。」
ナオ「だって、絶対かわいいじゃん!小さい竜を育てて、大きくなったら背中に乗って飛べるんだよ?」
ケント「まあ、確かにそこにロマンがあるな。」
ナオ「でしょ?」
ケント「でも飼育員ってことは、竜のうんちの掃除もしなきゃいけないかも。」
ナオ「急に現実的すぎるでしょ!」
ケント「竜のって、めっちゃでかそうじゃない?」
ナオ「もういい。もうケントしゃべるな。」
ナオは後ろを歩いているリクに言った。
ナオ「リク、何か考え事?全然話に入ってこないじゃない?」
リク「ああ、ごめん・・・。」
ナオ「リク、最近ちょっと、様子がおかしいよ?」
リク「ああ、いろいろと考え事があってな・・・。」
リクの頭の中には毎日のようにアリスの記憶が蘇るようになった。