Scene31
リクは自分の席で進路調査票をじっと見つめていた。そこにナオとアリスがやってきて、ナオが後ろからリクの頭に軽くチョップを入れた。それを見たアリスは「クスッ!」と笑った。
リク「いてっ!」
ナオ「あんた、そんな真剣な顔して、何考えてるの?」
リクが振り返ると、ナオがニヤニヤしながら進路調査票を覗き込んできた。
アリス「進路調査?リク、進路で悩んでるの?」
リク「まあな・・・。将来のことなんてまだ全然考えられなくてさ。」
ナオ「どれどれ?志望校の欄、空欄じゃん!」
リク「まだ進路、決めきれないんだよな。」
ナオ「そんなの行きたい大学を書いとけばいいのよ。」
リク「学部は?」
ナオ「理系なら情報系、文系なら経済系だよ。」
リク「何でそうなるの?」
ナオ「とりあえず社会からの需要があって、就職に有利な学部にしとけばいいのよ。」
リク「でも一応、興味があることの方がいいだろ?」
アリス「リクは、何が好きなの?」
リク「好きなことか・・・。いろいろとあるけどな?」
ナオは笑いながら言った。
ナオ「だったらほら!リクって体力あるし、力仕事とか向いてるんじゃない?」
リク「え?オレに大学に行かないっていう世界線あるの?」
ナオ「冗談っ!」
アリス「そうだ!やりたり事と、得意の事と、そして、お金になる事の3つが揃うのがいいって聞いたことあるよ。」
ナオ「何それ!?」
リク「そうなんだ?でも、その3つが揃うのって、なかなか難しそうだけどな・・・。」
ナオ「私は将来、商社に入って、世界中を飛び回りたい!そのために勉強頑張るんだっ!」
リク「ナオはそういうこと好きそうだし、得意そうだもんな。意外と3つが揃うことってあるもんだな。」
リクはアリスの方を見て言った。
リク「ありがとう。その3つが揃うのを考えてみるよ!」
アリス「ホント?役に立てて良かった!」
リク「それで、アリスはどうなんだ?もう進路決めたのか?」
アリス「私も、いろいろと考えてるよ。」
リク「どんなこと?」
アリス「誰かの役に立てるようなことをしたいなって。」
リク「誰かの役に立つって・・・何かそれすごいな。」
ナオ「いやいや、リクも人助けとか好きでしょ?去年だって、体育祭の準備手伝ってたじゃん。」
リク「あれは頼まれたからやっただけだよ。」
アリス「でも、そういうのも大事だと思うな。頼られるってことは、それだけで素敵なことだと思うよ。」
ナオ「ま、リクの場合は深く考えすぎない方がいいかもね。とりあえず『何でも挑戦する』って書いておけば?」
リク「おい、それ適当すぎるだろ。」
ナオ「そんなことないって!ほら、リクには私たちがいるんだから、迷ったら相談しなさいよね。」
リク「何だよ、その上から目線。」
アリス「うん。私も力になれることがあれば、何でも言ってね。」
リク「そうだな。迷ったら相談するよ。」
ナオ「何で私のときと態度が違うのよ!」