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Scene3

数日後、3人は下足箱から靴を取りながら話していた。


ナオ「あー、やらかした感じかも。」


ケント「どうしたの?」


ナオ「今日やらかしたと言ったらあれしかないでしょ。」


ケント「ああ、テスト?」


ナオ「因数分解、あれ括弧の中の符号が間違えたかも。」


リク「あれ、両方ともマイナスだったよね。」


ナオ「そうなのっ!?だったら早く言ってよ。」


リク「言ってって、どのタイミングでだよ。」


ナオ「テストが始まる前。」


リク「オレ、テストの内容を予言できる設定になってるの?」


ケント「因数分解?何のこと?」


ナオ「あんたは呑気でいいわね。」


リク「でもそう言いながら、ケントは数学きっちり点取ってくるからな。」


ケント「まあね。オレって天才じゃん。」


ナオ「ムカつく。歴史は全然ダメなくせに。」


ケント「歴史なんて覚えればすぐじゃん。」


ナオ「いつ覚えるのよ?」


ケント「修学旅行に行ったら?オレ、伏見稲荷楽しみなんだよね!」


ナオ「何それ?修学旅行が終わってもやらないでしょ?」


リク「さすがにそろそろやらないとキツイと思うぜ。」


ケント「オレが本気出して、いい点をとるようになっても嫉妬するなよ。」


ケントはおどけてみせた。


ナオ「何言ってるの?ケントの本気なんて怖くないから。」


ケント「まあ、部活を引退したら頑張るよ。」


ナオ「さっき修学旅行が終わったらやるって言ってなかったっけ?」


3人がグランドの脇を歩いていると、リクが何かに気づいた。


リク「あれ、テニス部のラケットじゃないか?」


ナオ「ほんとだ!テニス部の子にちゃんと片付けてって言ったのに。」


ケント「あーあ。これはナオの責任だな。」


ナオ「何でよっ!」


3人はラケットのところまで行くと、ラケットとボールが落ちていた。ナオはラケットとボールを拾った。


リク「それ、部室まで持って行くの?」


ナオ「部室の鍵を開けるのはめんどい。とりあえずドアのところに立てかけとくわ。」


ケント「それで、誰のラケットなの?」


ナオはラケットを見た。そこには小谷陽太と書かれていた。


ナオ「なんだ、男子のじゃん。これは男子の連帯責任だろ。」


ナオはそう言ってケントにラケットを差し出した。


ケント「この世のすべての男がした悪い行いはオレの責任なの?」


ナオ「だいたい女子がこんないい加減なことなんてする訳ないんだよ。」


ケント「あー、差別だー。」


ナオ「いや、実際そうでしょ。差別じゃなくて区別だよ。」


3人はテニス部の部室に向かう途中で野球場の横を通った。


ナオ「あっ!いいこと思いついたっ!リク、ラケット持ってバッターボックスに立って。」


ナオはそう言うとマウンドに向かって走って言った。


リク「おい、野球部に怒られるぞ。」


ナオ「いいの、いいの、今日だけっ!ケントはキャッチャーやって。」


ナオはマウンドに到着した。そして、リクに叫んだ。


ナオ「リクと勝負するの小6以来じゃないっ?あんときは手を抜いてあげたけど、今日はそうはいかないからね。」


リク「おい、これテニスのラケットだぞっ!」


ケント「オレ、素手で取るのっ?」


ナオは左足を高く上げて大きく振りかぶった。


ナオ「いっくわよ――ーっ!」


ナオのダイナミックなフォームからテニスボールがくり出された。リクはテニスのラケットを肩にかけたかと思うと、ラケットを高く掲げて身体を思い切りひねった。次の瞬間、リクはラケットを大きくふり、ラケットの中心でテニスボールをとらえた。するとボールは天高く舞い上がり、太陽に向かって飛んでいった。リクはその様子を眩しそうに眺めた。


タイトル「再恋」


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