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Scene10


境内に入ると、3人はまず手水舎でお清めをした。ケントが柄杓を使って水をすくったとき、勢い余ってナオの袖に水を飛ばしてしまった。


ナオ「ちょっと、冷たい!」


ケント「ごめん、ごめん。」


ナオ「わざとでしょ!」


ケント「わざとじゃないって!」


するとリクがしたり顔で言った。


リク「じゃあ、神様が清めてくれたことにしておこう。」


ナオ「何それ。上手いこと言ったつもりかもしれないけど、全然上手いこと言えてないから。」


3人はまた笑った。


本殿でのお参りは案外真剣だった。3人はそれぞれ目を閉じて願い事をする。


ナオ(3人とも志望校に合格しますように。)


ケント(3人とも幸せになりますように。)


リク(いつまでもこの4人で楽しくいられますように・・・。)


リクは自然に出て気た4人という言葉に驚いた。


リク(アレ? 3人の間違いだよな・・・。何で4人って思ったんだろう・・・。)


鐘を鳴らし終えた後、ケントは「おみくじ対決しようぜ!」と言った。


3人でおみくじを引くと、結果はバラバラだった。リクは「大凶」だったの対して、ナオは「大吉」、そしてケントは「末吉」だった。ナオとケントはお互いのくじを見せ合った。


ケント「え、ナオ、大吉とかズルい!まあ、オレの末吉もそこそこいいけどさ!」


ケントは悔しそうに言った。それに対してナオは得意げに言った。


ナオ「これが日頃の行いってやつだよ」


ケント「でも、大吉だからって調子に乗ると足元をすくわれるって書いてあるぞ。」


ナオ「どこにー?」


ケント「ここに。」


ケントはナオのくじを指さした。


ナオ「どこー?」


ナオは少し考えて気が付いた。


ナオ「騙したなケント!どこにもそんなこと書いてないじゃない!」


それを見てケントは笑った。隣で固まっているリクに気づいたナオが声をかけた。


ナオ「リクは何だったの?」


リクはナオにくじを渡した。


ナオ「大凶ー!!」


ケント「えー!!大凶なんてあるのー!?お金払って大凶なんてあるのー!?」


リク「大凶、大凶言うな。」


ケント「ある意味ラッキーだよ。オレ、大凶出たの初めて見たわ。」


ケントとナオは笑った。


ナオ「普通、くじに大凶なんて入れる?お金払って大凶って、誰得!?」


またナオとケントは笑った。


リク「オレ、こういうの信じないから。」


ケント「信じないにしては、顔が暗いぞ。」


またケントとナオは笑った。


ナオ「冗談、冗談よ。こんなのサイコロ降るのと同じだから。」


リク「まあな。くじの結果は7種類くらいしかないわけだし。」


ケント「お前、7種類もあるのに大凶引いたの?」


またケントとナオは笑った。


リク「お前ら笑いすぎだろ。」


――


ケント「せっかくだから写真撮ろうぜ!」


そう言ってケントはスマホを取り出した。ナオを中心にして3人で鳥居をバックに自撮りをしようとしたが、どうしてもリクの顔だけが半分切れてしまう。


ナオ「ケントが真ん中で撮ればいいじゃん。」


ケント「いやいや、リクの顔が切れてる方が面白い。」


リク「おい。」


ケントは何度か撮り直して、結局3回目の写真でようやく全員がフレームに収まる1枚が撮れた。ナオとケントはニヤニヤとした顔で写真に納まったが、リクだけは大凶を引きずって浮かない表情だった。


――


3人は弥生神社を後にした。


ケント「いやー、笑い過ぎてお腹がすいた。」


ナオ「私もー!」


ケントとナオはニヤニヤとした顔でリクの顔をまじまじと見た。それに対してリクは言った。


リク「はいはい。楽しんでいただいて何よりです。じゃあ、近くに相模国分寺の跡があるだろ?そこで買ってきたもの食べないか?」


ナオ「何?それ私への当てつけ。」


リク「何が?」


ナオ「国分寺なんて歴史のテストに出てきそうじゃん。」


ケントはナオの言うことに乗っかった。


ケント「あー!当てつけだー!」


リクは笑った。


リク「そっかー。それは好都合だ。そこで歴史のテストの答え合わせでもするか?」


ナオ「あー!嫌な奴っ!」


リク「じゃあ、言い方は悪いけど反省会でもするか?」


ケント「あー!思い出したじゃん。嫌なこと。」


リクは2人を見て笑った。


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