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No.93 施設に潜入せよ


 朝の明るい光が介護施設に差し込む。


「おはよーございます!」

 シドーが元気に他スタッフへ挨拶する。



「まずは潜入方法だけど内見で行くのは得策じゃない。ずっと案内係がついてまわるからね」


 プライスは施設への潜入計画について話す。


「じゃあどうするんだ?」

「身内として潜入するのさ」


 シドーが質問し、プライスはその問いに答えた。



「あなたが新人さんね」

「はい!よろしくお願いします!」


 シドーはスタッフとしてのふりを装い、先輩スタッフとのやり取りをする。笑顔と元気な挨拶で信頼を得ようとしていた。


「元気がいいね、ここでは貴方みたいな元気な若い子はすぐに人気ものになれるよ」

「頑張ります!」

「にしてもあんた良い体してるね」


「はい!何かあったときにすぐに皆さんを運べるように日々鍛えてます!」

「へぇ、それは素晴らしい心がけだね。頼りにしているよ」

  腕に力を入れるシドー。

 

「あのー」

「おっと早速出番だよ」

「はい、ただいま〜」


 シドーは笑顔で入居者の呼び出しに応じる。潜入計画の為、しっかり扮している役職に徹している。



「シドーさんは本当は目立つから向かって欲しくないという気持ちもあるんだけどね」


「それはできねぇ相談だ!ちょっと化粧したら行けるだろ?介護ってのはようは爺婆の相手をするんだろ?力仕事も汚れ仕事も経験があるぜ!まあダイキの身体を汚すことになっちまうが。キッチリ洗って返すさ」


「分かったよ」

 化粧をして潜入する事に対し若干の抵抗を覚える皆だったが、シドーの熱意を抑える事は出来ない。


「施錠よし!」

「あなた様になってるわねぇ、流石経験者ね」


「転職して正解でしたよ。こんな素敵な施設の警備を任せて貰えるんですから。気合も入ります!」

  キビは警備員として施設内の施錠を確認。ビシッと姿勢を正して敬礼する。


「キビさんは警備員として入ってもらう。少し前から募集がある。刑事さんならうってつけでしょ?ハウンドに来てるこの求人を利用しよう」

「そいつは都合がいいね」

 こうしてキビは警備員として潜入する事になった。


「整備の人入りまーす」

 施設に来た整備士の対応に向かうキビ。


「はい、それではパスを」

「はい」

「確認終わりました。どうぞお入り下さい」

 整備士を通す。


「シャーロットちゃんは整備士として入る。事前にこの施設のカメラをいくつか誤作動させておくから」


「私は!」

「アンジェラちゃんは監視カメラやシステム周りをいきなり任されて出来る?」

「う……それは」

 アンジェラにそう言うとプライスはウルルをみる。


「でしょ?だからそれにみんながみんな行くともしもの時のバックアップが無くなる。だからウルルちゃんと"一緒に"私達がのる車で待機して、中にいる私達をサポートして」


「え!ウルルちゃんと一緒に!?やった!」

「共に頑張りましょうね、アンジェラ様」

 表情を明るくしたアンジェラはウルルに抱き着く。


「それじゃあ私は!」

「ジーナちゃんはー」



「終わりました!」

「もうかい?随分と早いね。それに丁寧に出来てる。うん!合格だよ」

「ありがとうございます!」

 ジーナは化粧室の清掃をしていた。


「あ、清掃員の仕事があるよ」

「おー!掃除なら私得意だよ!」

 ジーナは清掃員として潜入していた。


「整備士、警備員、清掃員、介護士として潜入する。そしてもう1チーム内見係も一緒に向う」


 プライスは皆にそれぞれの役割を割り振った。



 一通り話を聞いたうえでシャーロットが質問する。


「アンドロイドじゃないんですか?特に警備や清掃ってどこもアンドロイドを使ってますよね」


 確かに今時それらの仕事はアンドロイドを使用している、これほどの人数の新人が入れる程の人員が不足しているとは思えない。


「それがこの施設の弱点、利用してるのは富裕層、多少のわがままを通せる連中だ。その中にはアンドロイドをよく思わない人が結構いてね。ほら、ハウンドにもいくつか警備員派遣の依頼が来てる」


 プライスはこの施設におけるアンドロイド利用事情を説明した。


「確かに人間の警備員を要求してますね」

 ウルルはプライスが見せてくれた求人票をみてそう言う。この場所ではアンドロイドよりも人間を積極的に採用しているようだ。


「ウルティメイトの息がかかっている施設なのにな」

「他の役職も利用者の為に殆ど人間を雇ってるんだ。公開されるような求人ではないけど。私なら皆を各外部委託会社の人間として紹介できるよ。こういう職種は人手不足だから即採用されるよ」


 アンドロイド利用の代わりに人間のスタッフを使っていることが今回は有利に働くみたいだ。


「内見は?」

「そこは残った私が行くよ。一人でも中の構造を知ってるし、最新式の警備設備も観たらどういうものか分かるからね」

 プライスは内見役を引き受けた。



 従業員として潜入した組は一仕事を終えて人目につかない場所に集まっていた。


「どうだいそっちは」

 シドーがキビに話しかける、彼女は首を振った。


「全然、地下があるって話だけどそもそもエレベーターとかじゃ地下に行けないし。非常階段も、普通に違法建築だぞここ」

 次に来たその場に来たのはシャーロットだ。


「今監視カメラの映像を抜いてる所、にしても綺麗な設備だね」

「そりゃ私達が掃除してるからね」

 そう言ってジーナが現れる。


「こっちも通路は見つけられなかった、でも怪しい事はあったよ」

「何?」

 シャーロットがジーナに聞く。


「社員が使っている化粧室や給湯室は清掃に入らないの。ゴミの回収も私達とは別の人がやるみたい。滅茶苦茶怪しいよね、わざわざそんな事の為に別の人を雇うか、社員が自分達でやってるって事だよね」


「そりゃ凄い無駄な事してるよな。一緒にやって貰った方が楽なのに」

「という事は何か外部の人間を警戒するような情報があるって事か」


 ジーナの話を聞いてシドーとキビがそう言う。


「とりあえずシャーロットちゃんの情報をあとでみてみよう。それじゃあな」

 シドーたちは再び持ち場に戻る。



「おかえり皆」

「おつかれさまー」

「お疲れさまでした」

 プライス、アンジェラ、ウルルは翌日の準備をして皆を迎え入れた。


「ふぅ、ご老人の相手もかなり体力使うんだな」

「このクリーム本当に一日持ったね」

「じゃないと困る」

 シドー、ジーナ、キビは顔に塗ったクリームを落とす。


「それで成果はあった?」

「まずは私から、監視カメラの映像」

 シャーロットが抜き取ったカメラ映像を皆にみせる。


「映像自体には怪しい場所が映ってない」

 一部の監視映像にフォーカスするシャーロット。


「でもこれみて、この人はカメラの範囲から出て20分も経ってる」

「その先には何があるの?」

 ジーナが質問するとシャーロットは監視カメラの配置を施設の見取り図に重ね合わせてみせる。


「何も無い通路だけまっすぐ進んでいたら次に映るまでは遅くても1、2分程度」

「なのに20分かそりゃ変だな」 


「それにみて、こっちだと何か持ってるけど、次に映った時は何も持ってない」

 シャーロットが言う通り、最初に映っていた従業員は何かを持っているが次の映像では何も持っていない。


「ああそれ出前だよ。配達の人から私が受け取った、書類とかにサインしてもらってな。それ所長の昼飯って聞いたけどな」

 キビが映像をみて、昼頃に配達対応をした事を思い出す。


「受け取ってそのあとは?」

「社員が運ぶからって言われてね。そのまま渡したんだ」

 シドーの質問に答えるキビ。


「このお店、多分ウルティメイトの傘下だよ。私も職場での食事は全部予め決められた店からの出前しか許されてなくてね」

 出前の袋を指さしてそう言うプライス。


「結局その昼ご飯はこの通路を通っている間になくなったと……」

「絶対何かあるよね」

 ジーナとシャーロットが見取り図を見つめる。


「社員は秘密の通路を知ってるのか。遠目でみたんだけどみんな飯食う時でも手袋して、怪しい感じだったな。介護士のおれらもそんないつも手袋をつけてる人なんていなかったのに」

 介護をしている間にシドーは何度か手袋をつけたものを見たようだ。


「明日は私が内見に行くから、皆はこの周辺を探ってほしい。明日で終わらせよう」


 プライスの発言でしめくくり、夜の会議は終わった。



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