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No.79 助っ人


 ヴァ―リが求めていた【エデンの果実】という立方体はウルルの中にあった。目的のものを目にした彼はウルルからそれを奪い取ろうとする。


「アルファ、ベータ、シータ、そのアンドロイドを捕らえろ」


「やめてください!二人は精神的に深刻なダメージを受けています!特にシータという方は……!!」

ウルルがヴァ―リに向かって声を荒げる。


「黙れ、完璧な存在に近づいたというのに感情なんぞ得る愚者が!そいつらの役目は目的達成に全てを捧げる事だ!さぁ何をしている立て!」


 彼の声に反応しアルファが立ち上がる、気を失っていたシータも目を覚ます。ウルルに目線を向け歩き始める二人。


「ダメ!」

そんな二人をコウノが後ろから止めた。


「何をしているベータ」

「この二人は今後の為に控えさせた方が良いかと。ここは私がしますから!」


 コウノは二人を後ろにやり、ウルルに近づく。それを見たキビは落とした銃を探す。動かなくなった右腕の代わりに左手で構え、銃口をコウノに向ける。


「コウノやめろ!」

「……」

コウノはキビに目線を向けなかった。


「コウノ様!」

「……」

ウルルの呼びかけに目を伏せるコウノ、彼女はウルルの手を取り羽交い締めにした。


 彼女の手から離れた【エデンの果実】だが、ウルルの頭部に浸透するように入って行った。


「ほお、持ち主の所に戻る習性でもあるのか?だがもうその持ち主は時期スクラップになる。新しい持ち主は私だ」

ヴァ―リがウルルの頭部に手を伸ばす。


「ッ……!!」


 目を閉じたウルル。


 しかし、ヴァ―リの手が彼女に届く事は無かった。目を開くと彼の手が目の前で止まっていた。誰かが彼の腕を掴んで止めたのだ。


「き、貴様……なぜここに?!」

ヴァ―リは腕を掴んだ相手を見て目を見開く。


「これ以上、その体で愚行を重ねる事は見逃せないね」

腕を掴んでいるのは女性だった。


「なぜだ、イヴ……!!」




「ハァ、ハァ……やっぱり強いね」


ジーナは所々切り傷を負いながらもキリサメに対して善戦していた。


「なぜ……そこまでする?」

「え?」


 刀を構えながらキリサメが尋ねる。彼女も肩で息をしており余裕ではないようだ。この時ジーナは初めてキリサメの声を聴いた。以前戦った時は録音されたツギハギの音声だったが、今回は違う。


「あなた、普通の学生。命かけの戦い、しなくても良い。安全に生きられる、でも戦う、どうして?」


「そりゃユキチカが、みんなが大事だから。その人達を守るにはこれくらいはしないとならないってだけ。あなたこそ、別にこれ以外の道がない訳じゃないでしょ?それだけ動けるなら警察とか、アスリートとかさ、どうして殺し屋やってるの?」


ジーナはそう答える。


「キリサメは……」

キリサメは言葉に詰まる。


「迷ってるの?そんなに強いのに勿体ないね。スパッと決めちゃいなよ」

ふぅっと息を吐くジーナ。


「んッ…!!そんな、簡単、じゃない」

「そう?悩み事なんてその人が思い込んでる程のものじゃないかもよ?んーなんていうか悩んでるって事はどっちでもいいんじゃない?」


(あれ?なんで私こんな話してるんだろ。でもなんかほっとけない感じするんだよなこのキリサメって子)


キリサメは刀を構えているものの、迷いを見せていた。

その姿を見てジーナは話を続ける。


「じゃあこの話を聞いて、それでどうするか決めたら?」

そして彼女はある事を話始めた。

彼女が話を終えるとキリサメはショックからか刀を地面に落としてしまう。


「そんな……あのお方が!」




「イヴッ!貴様なぜここに?!」

ヴァーリがイヴに怒鳴り声を上げる。


「その質問に答える義理ある?」


「まったくなぜこうも邪魔が入るのだ。私は自分の役目を遂行しようとしているだけなのにな」

ヴァ―リはイヴを振り払う。


「それだけあなたの言う役目は果たすべきじゃないってことじゃない?あるいはそんな役目なんて最初から無かったとか?」


「ふざけたことを、これこそが私の進む道だ。私は貴様らとは違う、自らの使命から目を背けたりはしない」


 ヴァーリは胸ポケットから時計のようなものを取り出し、腕に装着する。すると地面が揺れ始め、轟音と共に壁を破壊し何かが現れた。


 現れたのは鈍い金属の光を放つ外骨格アーマー。それはひとりでに動きヴァーリの元に向かう。


「こいつはまだプロトタイプだが、数匹の虫を叩き潰すには充分だろう」 

ヴァーリが近づくとアーマーが展開される。アーマーは自動で彼の体に装着されていく。


「まだこのような古典的な方法でしか自身を強化できないが、それも時間の問題だ」

アーマーの両手を前に突き出すヴァ―リ。


「天才の君はこれをどう乗り越える!?」

突き出した両手から圧縮された炎が放射された。


 その炎が射出された先には彼の部下であるアルファとシータそしてコウノもいる。しかし彼はそんな事を気にするような人間ではない。構い無しに放たれた炎は壁や天井を炭化させながら横暴に突き進む。


 炎が迫りくるのを見たコウノがウルルの拘束を解き、前に出て両手を広げる。

「コウノ様!」


「フィールド展開ッ!!」

イヴが更にコウノの前に立ち光の壁を展開する。


「ありがとう、でもここは私に任せて」

後ろに立っているコウノにそう言うイヴ。


「そうだよな、君ならそうするだろうな。おい何をしている!アンドロイドが無防備だぞ!厄介者は私が抑えておいてやろう、その間にエデンの果実を奪うのだ!」

ヴァ―リは3人に命令する。


「あなたは一体……どこまで残酷なの」

炎を受け止めながらイヴがそう呟く。


「随分とゆったりしているな、どこか負傷でもしたか?しょうがない、もう一つ手を貸してやろう。セキュリティタレット展開ッ!侵入者を無力化せよ」

すぐに動かなかった3人を見て、ヴァ―リは防衛設備を起動させる。


 共に天井から2門機関銃を搭載したタレットが複数現れる。タレットらはウルル達に照準を合わせた。


「ウルルこっちに!コロちゃんズ!」


 シャーロットはウルルを引き寄せる。その後コロちゃんズが周囲の瓦礫をかき集め即席の壁を構築、襲い来る弾丸をギリギリで防いだ。しかし、壁で跳弾した銃弾が側にいたアルファとシータに向かってしまう。


「危ない!」

コウノは咄嗟にその銃弾からアルファとシータを守るため、彼女らに覆いかぶさる。銃弾を背中で受けるコウノ。


「ベータ!」

「何をして!」

アルファとシータが驚いた顔をする。


「コウノ様!」

「まずい、このままじゃあ皆を守りきれない!銃座をなんとかしないと!」


 防げているとは言えど、ウルルとシャーロットを守るのは即席の壁。降り注ぐ弾丸の雨に完全に耐え切れる程の物ではない、徐々にその形を崩していく。それにこれ以上弾を防ぎ続けるとまた跳弾した弾がコウノを襲う可能性もある。


「役目を果たした者は死ぬのみだ!」

ヴァ―リは炎の勢いを強める。



「シャロ様、お願いがあります。一瞬だけ壁に隙間を作って貰えないでしょうか。既に銃座の位置は把握しています、外に出てそれらを破壊します」


「そんな!じゃあ壁を半分つかって!」


「いえ、それでは私達二人とも更なる危機的状況におかれます。私はアンドロイドなのでシャロ様よりは怪我の影響が少ない事が予想されます。この場で優先すべきは全滅を免れる事です。ですからお願いします」


 戸惑ったシャーロットだったが、決心し壁に少しばかりの隙間を作る。その隙間から跳び出て、弾丸を受けながらも銃座を破壊するウルル。


「ウルル!」

シャーロットはすぐにウルルに駆け寄った。


「ありがとうございます、大丈夫です。予想よりも被害を抑える事が出来ました」

「はぁ、良かった……」


「ベータ!」

「ああ、ベータそんな!」

アルファとシータは背中から血を流すコウノをみて再び動揺を見せる。


「結局私がする事になるのか。もうよい、貴様ら灰になれ!」

ヴァ―リはアーマーの両腕に供給しているエネルギーを引き上げる。炎の色が青色に変わり一層その勢いを増す。


(うわー、やっぱりそう来るのね。流石にこれは防ぎきれるかな)

イヴがそう思った瞬間。


 ヴァ―リの突き出した腕に縄が絡まる。

「なんだ?」


「行くぞユキチカ!!」


 縄を握っていたのはキビだった。彼女は破壊された壁から露出したケーブルを使いヴァ―リの腕を捕らえた。彼女は思い切りワイヤーを引き寄せる。火炎放射器となったアーマーの腕が上を向く。


「お姉ちゃんたちをいじめるなッ!!」

ユキチカが握りしめた拳を放つ。



ここまで読んで頂きありがとうございました!

今後も投稿していこうと思うので評価、コメントなどして頂ければ励みになります!

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