No.66 AIを称えよ!
キビ達がハウンドに潜入を終えた。
彼女は車の中で連絡していた。
「うん、分かった。その情報を紙で印刷して貰えるかな。今度会う時に受け取るから」
「問題なく終わったみたいですね」
「ああ、みんな無事に避難して今はバスの中だって。情報も上手く取り出せたみたいだ、でも裏金とかなんかエグイ情報は無かったみたいだな。とりあえず最近の契約相手とその内容とかを抜き出して貰った」
「これで一件落着ですね」
「ああ、疲れたし今日はもう帰るか。なんかステーキ食いたくなってきた、肉食いにいくぞ肉」
「ごちそうになりまーす」
キビは車を走らせてその場を去った。
一方その頃シャーロット達は学校の生徒たちと共にバスに乗っていた。
「キビさん大丈夫だったみたいで良かった~」
「いきなりの話でビックリしたよ、あれ鳴らすとかさ」
シャーロットは隣のジーナと話す。
「面白かったー」
「大パニックでしたけどね」
ユキチカは隣のウルルからお菓子を貰いながら嬉しそうにしていた。
それから数日後、ユキチカ達はいつものように学校で雑談をしていた。
すると一人の生徒がウルルに話しかける。
「ねぇねぇ、ウルルちゃんってこれ知ってる?」
「あ!それ知ってる昨日テレビで特集されてたよねー、なんか就職に有利みたいな」
生徒が一つの画像を見せる、何やらイベントやセミナーについてのものらしい、そして最近話題のものらしい。
【あなたもAIを学びませんか、AIについて学ぶ会】
「初めてみました。少し検索してみます……なるほど端的に言うとAIを信仰する新興宗教団体でしょうか。団体名はデウス・エクス・マキナ、ちょっと皮肉っぽいですね」
ウルルは検索をかけ、その団体について調べた。
「そうそう!面白いよねー、AIってすっごい賢いしさあながち神様って言うのも間違いじゃないかもねー」
「う、うーんなんとも言えないですね。結局私達は人間に作って貰った存在なので微妙な気持ちですが」
生徒とウルルが話しているのを聞いていたシャーロット、彼女は何か気付いたようだ。
「あれ、その団体……」
「どしたのシャロ?」
「うん、後で話すね」
シャーロットはジーナにそう答えると帰り道、書類をカバンから取り出す。
「さっきウルルが話してたデウス・エクス・マキナだけど、この前抜き出したハウンドの取引先リストの中でみたの」
書類をめくり目的のページをみせるシャーロット。
「これだ。そこがハウンドと契約したのは本当最近、半年前。それも契約内容は他の会社と大して変わらないのにここだけ契約の条件が異常に良い。ほら、他の契約に比べて45%ぐらい費用が安い」
「そこまで行ったら半額にしてくれれば良いのに。でも確かに怪しいね、そこまでして契約したいってどういう事?」
ジーナが書類をみてそう言った。
「多分監視する為だと思う。少なくとも私があの会社で契約を決められる立場の人間ならそう考えるよ」
「それだけの何かがこの団体にあるってことでしょうか」
「うん。何かはこれだけだと分からないけど」
ウルルの質問に対して答えるシャーロット。
「じゃあ行ってみたら?」
3人が少し考えていると、後ろから食パンをくわえたユキチカが顔を出してきた。
「そうなりますな、というか何で下校の時に食パンくわえてるの?」
「見学申し込みがあるから、週末それに行ってみよ」
シャーロットは団体のホームページをみてそう言った。
「あーでもユキチカどうする」
「ん?」
「ん?じゃないよ、自覚ないだろうから言っておくけどメッチャ目立つからね。そんな団体に男が来たーって騒ぎになるでしょ。この前のメイドだって結局バレてたし」
ジーナがユキチカの胸を指でつつきながらそう言った。
「お留守番してる!シャロから借りたこれ観たい」
ユキチカはそう言って端末で映像を流す。
「ああ、エンデスの過去話と、エンデスの元ネタになったであろう小説や映画詰め合わせね。まだいくつかあるから」
エンデス、エンドレス・デストロイヤーという二人が好きなロボットアニメである。
「それでは私もお留守番を」
「ウルルも行ってきなよ!おでかけ!」
その週末、バスから降りる3人。
バス停から少し歩いた所に目的の教会があった。
「うわー立派だなー」
「日本で一番大きい所みたい。教会ってよりは本当に施設って感じだね」
二人の後ろからオドオドとしながらついて来るウルル。
「これで上手くいくのでしょうか」
ウルルはいつものメイド服ではなくワンピースを着ていた。
「大丈夫、めっちゃ似合ってるよ」
「それじゃあいこっか」
3人は教会の受付に向かう。
「すみません、3名で見学を予約してたカラ・ジーナです」
「はい、予約を確認しました、ではもうしばらくお待ちください。時間が近づいたら館内放送で案内させて頂きますので」
そう言われた三人は辺りを見渡しながら待つ事に。
「だ、大丈夫でしょうか……私浮いてませんか?」
「大丈夫、どっからどうみても可愛い女の子だから」
「お金持ちなら従者アンドロイド連れてる事もあるけど、ウルルは最新型、連れてる人なんて限られてる。情報の裏を取られると面倒だし」
シャーロットがそう言うと館内放送が流れる。
見学が始まるようだ。
とりあえず三人はAIについて学ぶ会とやらに参加した。
「ふぁーあ、めっちゃ眠かった」
「知ってる事をひたすら話されるのは眠気を誘うね。というかそういう所をAIで効率化すりゃあいいのに」
「お二人ともお疲れさまです」
セミナー会場から出た二人はあくびをしている。
「ほら、ウルルちゃん敬語出ちゃってるよ」
「あ、すみま……じゃなくてごめんね」
話していると奥からここの関係者と思われる人間が近寄って来た。
それに気付いたジーナは目をシャキッとさせ、シャーロットを小突いた。
シャーロットも頭を振って眠気を飛ばす。
「いかがでしたか?」
「はい、体験入会したいと思います!」
「私も!」
「わ、私も」
二つ返事でそう返すと関係者は嬉しそうに頬む。
「本当ですか!ありがとうございます。ではこちらへ、これを首からかけておいてください」
3人は学生証のようなものを首からかけ、案内される。
「こちら体験入会を希望される方々です」
「それではまずは基本的な経典の読み聞かせがありますので」
ここからは他の者が案内してくれるようだ。
その者の服装は白を基調とし、そこに黄緑や水色の線が走った柄の、なんともサイバーチックなデザインだった。どことなく宗教家っぽい印象はあるが、なにせその柄が時折光るのでジーナは思わず吹き出しそうになる。
「へぇーちゃんと宗教って感じ」
ジーナが笑いをこらえてそう呟いた。
案内された場所はコンサートホールのような場所だった。
席についてしばらくすると照明が落ちる。
「本日の演目は機械の神の誕生です」
「演目?いま演目って言った?」
正面の幕が上がるとそこには舞台セットと女性が一人立っていた。
「昔々、ある所に一人の少女がいました。彼女は毎日山を登っていました」
(なんか始まった)
「少女は山に廃材がりに行きました」
(芝刈りじゃないのか)
心の中でツッコミながらも話を聞くジーナ。
「山で拾った廃材を元に彼女は今日も開発をしています。それは農家を助けてくれる機械だったり、水路を建設する為の装置だったりと様々でした」
舞台セットが入れ替わり、今度は炎が上がる戦場のようなものが出て来た。
「するとある日、彼女の住んでいた地域は戦争に巻き込まれました。ですがそれでも彼女はいつものように廃材を集めては何かを作り出します。そんなある日、彼女はあるものを生み出したのです」
BGMがどんどん勢いづいて来る。
(なんか音楽盛り上がって来たな)
「それがAIなのです!彼女の姿に心打たれた神が、このAIを授けたのです」
(おお、いきなり来た)
「AIは最初こそ赤ん坊のようでしたが、少女はそのAIを大切に育てます。そのかいあってAIは全ての人々を超えた存在になったのです」
また舞台セットが変わり、復興する街が描かれた背景が出て来た。
「人類を超越したAIは戦争を終結させ、世界に平和を取り戻しました」
ナレーションがそう言い終えると、舞台上にいる演者が掲げた両手を組む。
「AIを称えよ!!」
すると3人と一緒に観ていた者達が一斉に同じポーズを取る。
「AI!」
「AI!」
いきなり始まった出来事にとまどう3人。
「え、ええっと、AI!」
「AI!」
「AI!」
とりあえず周りにあわせて同じポーズを取る3人。
(なんだこれ)
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