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No.61 もう一人の家族


ユキチカの故郷、インファマス刑務所にサイボーグが看守として潜入していた。

その看守たちは何かの資料を盗み出したようだ。


インファマス刑務所の所長であるユキチカの父、鬼丸ヤスシは


「おとうさん大丈夫?!」

「おお!お陰で大丈夫だぞ我が息子よ!」

ユキチカがサイボーグの看守を、父であるヤスシの元に駆け寄る。


「ごめんなさい、おばあちゃん。お仕事の邪魔しちゃった」


「いいよ、ユキチカがやらなかったら父ちゃんかばあちゃんがぶっ壊してたから」

倒れたサイボーグたちをみてMrs.ストレングスがそう言う。


「悪い、せっかくの情報源が。私が標的を殺し損ねたせいで」

「まあ欲しい情報は引き出せたから良しとするよ」

謝るブルズアイに対してMrs.ストレングスはそう答えた。



「志か忠誠心か随分なもんじゃないか。新人類だかなんだか知らないが」

Mrs.ストレングスは皮肉交じりに相手の忠誠心について話す。


「そういえば前にブルジョさん所で戦った相手も新人類って言ってたような」


以前、ブルジョの所でメイドとして働いている時に対峙した者達も新人類という言葉を口にしていた事をジーナは思い出す。


「信仰がらみの連中は面倒だよ、どの戦場でも。」

「分かる、あいつら行動原理が読みづらいし、平気で特攻しかけて来るし一番相手したくないパターン」


Mrs.ストレングスの発言に共感するブルズアイ、信仰によって駆り立てられた者たちがとる行動の予測困難さについて話した。


どうやら彼女達はそのような者達を相手にしていた過去があるようだ。


「……」

シャーロットは沈黙し、身動きの取れなくなったサイボーグ達をじっと見つめる。




「あ、そういえば君たちはユキチカの身体の事知ってるんだね」


ヤスシは話題を変え、ジーナとシャーロットそしてウルルにユキチカの身体のことを尋ねた。


「え?ああ、そうですね。機械なんですよね」

「この人たちといっしょー」


シャーロットが答える。

その隣でユキチカはサイボーグ達を観察しながら話す。


「そうか、そこまで知ってたんだな」

ヤスシは頷く。


「いつ頃知ったんだい?」

「えーっと会って次の日?いや、翌々日?色々ありすぎて日にちの感覚が」

Mrs.ストレングスの質問に対して思い出そうとするジーナ。


「私とジーナ様はユキチカ様にお会いして翌日に、そのユキチ様の腕がポロッと取れたのをみて……そこで」


「で、その映像をシャロが見つけて知ったんだよね?」

「うん」

3人がそう話すとMrs.ストレングスは笑いだす。


「んがっはっは!翌日って!1週間ぐらいもつかと思ったのにね!」


ひと笑いした後にヤスシがまた話し出す。


「そうだ、ユキチカの事で気になることがあれば聞いてくれ。君ら二人を勝手に呼びつけて勝手にテストなんてしたからね。それぐらいの特典はないとな」


ヤスシはジーナとシャーロットにそう言った。


「それと二人のテスト担当に一回依頼できる権利をあげよう!」

「何シレッと犯罪者と関係持たせようとしてんだ」


彼の提案にキビがツッコミを入れる。


そんな彼に真剣な顔をしたジーナとシャーロットが話しかける。


「それじゃあ、そのユキチカの本当の身体って何処にあるんですか!ユキチカの身体を取り戻すのに目星があれば是非教えてください」


「私もそれ気になる、あとは彼はここで生まれたんですか?」


ジーナとシャーロットは各々気になっていた事を聞く。




「……分かった。君らが今聞いたその質問、それこそがこのサイボーグ達が盗み出そうとした情報だ」


ヤスシは話し始める。


「まずはユキチカの本当の身体場所だが、私達もそれは分からない。ストレングスもずっと調べてくれているが全く網にかからなくてな」


「面目ない話だよ」

彼の話に対し、Mrs.ストレングスはため息交じりに言った。


「そしてユキチカがここに来た経緯だが。来たのは5年前、ある日突然現れたんだ」


「え?突然?」

ジーナは驚きを隠せない表情で聞き返す。


突然とはどういう事なのだろうか。


「本当だ、それもその時はまだ小さくて3歳か5歳ぐらいだった。正確な年齢は分からない」

ヤスシは更に話を進める。


「5歳ぐらいって、いやそれは後にして。一人でここに来たんですか?」

シャーロットが質問を重ねる。


彼女もヤスシが言う情報に戸惑っているようだ。


「違う、もう1人一緒にいた。ユキチカのねぇちゃんだ」


「ね、ねぇちゃん!?」

「お姉さんがいたの?」

シャーロットとジーナが目を見開く。


声に出してはいないがウルルもかなり驚いた様子だ。


「おとうさん、おねぇちゃんの話してるの?」

「そうだ、ねぇちゃんの話だ。皆にしてなかったのか?」

ユキチカが会話に入って来る。


「その子がユキチカを抱き抱えた状態で、そこのソファに座ってたんだ。今でも鮮明に覚えてるよ」

ヤスシはジーナとシャーロットが座っているソファを指さす。



「本来ならすぐに本島に戻さないといけないが、ここじゃないとダメだって聞かなくてな。それにその頃ユキチカは身体が弱くてな、とてもここから運び出せるような状態じゃなかった。たしかその頃はもう自分の身体じゃなかったんだろ?」


「うん、もう身体とられちゃってた」


ヤスシの質問に対してユキチカが頷く。


「そこでユキチカのねぇちゃんはユキチカの身体を作ってやったんだ。ねぇちゃんも凄くてな。ユキチカと同じ天才だった。一体どこからかき集めたのかガラクタを組み合わせて色々な物を作ってた」


どこか楽しそうな表情でヤスシは話す。


「だがある日突然、ユキチカのねぇちゃんは姿を消した。ボートを使われた痕跡もない、外の監視カメラにも何も映ってなかった。本当煙みたいに突然消えちまった」


視線を落とすヤスシ。


「だが他の囚人に聞いた話だとユキチカ達の部屋から眩しい光が溢れ出したってな」


「そのお姉さんの名前は」

ジーナが質問を挟んだ。


「イヴ」


ヤスシは質問に答え一人の女性の画像をみせた。


その女性は非常に見覚えのある顔だった。


「リリィ……!」

「……!!」

「そんな……」

ジーナとシャーロットそしてウルルもその画像をみて驚く。



「この人知ってる!おねぇちゃんのそっくりさんだ!この前あったよ!」

「そっくりさん?お姉さんじゃないの?」

画像をみたユキチカの反応をみてジーナはそう聞いた。


「うん、似てたけどちがったよ」

「ふーん、ユキチカがそう言うなら間違いないんだ」


首を振って答えるユキチカをみてジーナが言う。


「俺たちも最初は、イヴ見つけた!!って思ったけどユキチカが会ったのに普通に帰ったって話を聞いてな。じゃあ別人なんだと話していたんだ」


「だが一歩前進したね、イヴにそっくりな奴がハイテク企業であるウルティメイトのお偉いさんをやってる。偶然にしては出来すぎだね」


ヤスシとMrs.ストレングスがそう話した。


「じゃああの会社が色々な技術を作れてるのもそのイヴって人がいるから?」

すると話すジーナの隣でシャーロットが小声で何かつぶやいていた。


「イヴ、イヴ……」

「シャロ、どうしたの?」

ジーナが尋ねるとシャーロットは顔を上げる。


「私、もしかしたらその人関する情報みたことあるかも……」



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