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No.56 テスト開始


 テスト開始の合図を所長室で聞いていたキビ達。


「もっとお前が暴れるかと警戒していたけど意外と大人しいな」

「ああ、実銃使うあたりでテメェ等ひっぱたいてやろうかと思ったがな。でもそれは理由を聞いてからでも遅くないと思ってな」


「ねえ、なんで二人はテスト受けてるの?」

「どういうつもりだヤスシ、テメェだろあいつに頼んだの」

 ユキチカとキビはヤスシに問いかける。


「最初はストレングスに相談したんだ、そしたらマチェットを使うのはどうだって話になってな」


「その相談した内容はなんなんだっつー話だよ」

 キビは徐々にその語気が強くなっていく。


「ユキチカの友達がこの先、ユキチカについていく事ができるのかのテストだ」


 この言葉をきいてキビがヤスシの襟元を掴んだ。


「何考えてんだ!あの子達にどうしてそんな事を」

「お前こそ何考えてんだ」

 掴まれた状態のままヤスシは話す。


「ユキチカがここを出てまだ半年も経ってない。それなのになんだ?アンドロイドに襲われただって?それにあのウルティメイト社だってユキチカを狙ってるって話じゃないか」


 ヤスシの言葉にキビは口を閉じる。


「ユキチカが好奇心をもって事件捜査に首を突っ込むのはまだいい。俺は息子の決定を尊重するし、息子には困難を乗り越える力があるって信じてる、無理な時は全力で助ける。でもあの子達については俺は知らない。どれほどの存在か、大事な友達だってのはここまでのやり取りを見てたら分かる。でも実力はまだ分からない」


「だから世界中の猛者を素手で殺してきた闇格闘技のチャンピオンを相手に殴り合いや、犯罪者と二人っきりで実弾を使っての的あてをやらすってか」


 キビはまだ息が荒く、襟を掴む手は力が入ったままだ


「息子が友達を失って悲しむ様を見たくないからな。彼女達に実力があればそれでよし、彼女たちが思うようにユキチカと共に過ごせばいい。実力がなければユキチカとは学校でのみの付き合いにしてもらい、深く関わることを禁止させてもらう」


 ヤスシは淡々と話を続ける。


「彼女らも俺と似た考えがあったんだろうな。だから特に質問もせずテストを受けるって言ったんじゃないか?」


 キビは何も言えずにヤスシを睨んでいた。


「キビ……彼女らのどちらかでも、まかり間違って死ぬことがあれば、俺は腹切って死んでやる。友達を失って悲しむ息子の顔なんて見たくないからな」


「……ッ!そんときはお前に人の心が残ってるのか、心臓でも引っこ抜いて、観てやるよ」

 キビはそういってヤスシの襟を離した。


「ユキチカ……」

 ユキチカの方に振り向くキビ。


「大丈夫!二人とも合格できる!」

「わ、私もお二人の事信じてますから!」

 ユキチカとウルルはソファに座りモニターを見つめていた。


「あっちの二人はもう腹決めてるみたいだな」

「狼狽えてんのは私だけか、らしくない」

 そういってヤスシとキビもユキチカたちの向かいにあるソファに座った。


「さっき言ったことマジだから」

「へーい」

 キビがモニターを見つめながらヤスシにそういった。




 歓声が上がる囚人たちの闘技場、通称”蜘蛛の闘技場”。


 そこではジーナとショットシェルが見合っていた。


 ここではお互いに的のついたベルトを身体に5本つけ、先に的が全て壊された方の負けだ。


 ジーナは左右の肩と太股、そして左胸に。

 相手のショットシェルは左右の上腕、腹、額、そして背中だ。


(さて、どうしようかな。体格差的にパワー比べは絶対ダメ。でもあのリーチなら懐に潜り込まれると闘いにくいはず、インファイトで一気に攻める?けど相手は裏格闘技界のチャンピオン、打撃だけじゃなく投げや絞めも出来るだろうな、あの腕に掴まったら流石に抜け出すのキツイな。アウトファイトもリーチ差的に微妙だなー)


 ジーナは相手の注意深く観察しながら考えを巡らせていた。


「おいおい、さっそく考え事か?もっと一直線に向かって来るタイプかと思ったな」


 ショットシェルが一気に距離を詰めて拳を振り下ろす。

 ギリギリの所で横に転がり回避するジーナ。


(あっぶな!なんてスピードで距離詰めてくるの!?)


 すぐに立ち上がって構える。


「はぁ、これれはタフなテストになりそ」




 テストが始まった射撃訓練場。


「ああ、そうだ順番決めしてなかったな、コイントスで決めるぞ」

「さぁ、どっちだ。言い当てた方が先攻だ」

 ピンッとコインを親指で弾くパラベラム。


 可愛らしい金属音を立てながら落ちてくるコインを手の甲の上にパシッと捉える。


「じゃあ表」

「よしじゃあ私が裏だな」

 パラベラムは掌を開けるとコインは表向きだった。


「おっとあんたが先攻だ」

「銃の扱いを教えたこと後悔しても遅いからね」

 シャーロットは教わったやり方を再現する。


「えーっと、こんな感じ!」

 そう言って引き金を引いたシャーロット。


 発砲音にビックリして飛び上がるシャーロット。


 少し滑稽な姿だがパラベラムはそれを笑わなかった。

 それよりも注意が別に向かっていたのだ。


「おっと、いきなりど真ん中かよ」


「銃を撃つ所自体は何度か見た事あるし、構造も観たらなんとなく分かるからそれで挙動や弾道を計算した。あとは弾薬触ればどんな素材をどれくらいの量使ってるか分かるからそれで、あなたがさっき弾薬を解体して火薬舐めてた時にシンプルな構造って事も分かったから計算しやすかったよ」


 そう説明するシャーロット。

 説明されたところで常人がおいそれと真似できる事ではない。


「つー……これはちょっと厳しいな」

 ため息をつき、頭を撫でるパラベラム。



 それから追加で4発、計5発を撃ちきったシャーロットとパラベラム。


(もう半分撃ちきったか。くそ、一発真ん中から少し外れちまった。にしても何だこいつの精度は、機械みたいに正確に全てど真ん中を撃ち抜きやがる)

「私のミスを期待してるなら無駄だよ。最初の計算が合っていた時点で絶対外さないから。ギブアップする?」


「得意げだな。まあそれも無理もない、認めるよ。お前は天才だ」


 パラベラムがそう言うと射撃訓練場の扉が開く。


「いやぁ、ごめんごめん、仮眠とってたら以外とぐっすり眠っちゃって」

「まったく頼むよ、こっちはお前を安くない金で雇ってるんだから。もう半分撃ちきっちまったよ」


 そう言って訓練場に入って来た者に銃を渡すパラベラム。


「なんだ半分もあるのか、じゃあ十分すぎる」

「あなたは?」

 シャーロットが当然の質問をする。


「選手交代だ、というか私が本来の対戦相手なんだが」

 そう言って相手は銃を軽くチェックして、シャーロットに目を向ける。


「どうも、ブルズアイだ。よろしく、いやぁまさか相手がこんな美少女だったとは。まるで店に並ぶ新品の人形みたいだ」


「ん、よろしく」

 シャーロットはそう言って警戒の目を向ける。


(今更誰かが来たところで変わらない、私は的の真ん中を撃ち抜けば勝ちだ)


 この時点でシャーロットとパラベラムでは1点の差があった。最初の1発目、シャーロットは真ん中に命中したがパラベラムは外して4点だった、それ以降二人共真ん中に当て続けていた。


(もう私が負けるパターンとしては中心を外して4点ばかりとってしまうか、それとも一発3点以下の部分に当てちゃうかのどれか。でもそれは起きない)


 最初の一発が的のど真ん中に命中した時点でシャーロットは確信していた、もう外さないと。



「さて、それじゃあ始めようか」


 シャーロットが最初に発砲した。

 すると一瞬シャーロットの的の前で火花が散った、それも複数個所。


「何今の?まあいいや、えっと点数は……え?」


 シャーロットは的の中心に目を向けた、しかしそこには新しく弾が当たった形跡がなかった。先ほどと同じ計算で同じ撃ち方をしたのにも関わらず。


「あれ……」


「さあ、私も撃ったから、次のターンだな」


(もう撃った?いつの間に?)

 シャーロットは相手の的をみた。

 的の中心に弾が当たっていた、しかし非常に不可解な点があった。


 なぜか中心に着弾している弾の他にそのすぐ外の円にもう1発増えているのだ。


「……もしかして!私のを」


「あら、もう気付いちゃったか。そう、君の弾貰っちゃった。ルール的に問題ないよね?”お互いの持ち弾を撃ちきった後に多くポイントを獲得した方が勝ち”それがこのテストのルールだ」


「でもどうやって……」

 シャーロットの脳は必死に相手がした事を分析した。


(私はいつも通り構えて撃った、そうだ、弾を抜き取られた?!違う、もう残りの弾は全部弾倉に入ってる、抜き取られてない。それじゃあどうして)


 彼女は違和感を探した、そして発砲した直後自分の目の前で一瞬火花が散った事を思いだした。


(そうだ、あの火花。あんなのさっきまでなかった。火花が散った原因は?もうあの時点で飛んでいるのは弾薬の先端部分、それ自体に火花を散らす原因はない。となればそれ以外の……うそ、でもそんな!)


「私が撃った弾丸に自分が撃った弾丸をぶつけたの?」

 シャーロットは恐る恐るブルズアイに聞いた。


「おー、そこまで分かるとは本当に頭が良いんだね。その通り、君が発砲した直後に私は銃を撃った。そして私の弾丸を君のにぶつけたんだ、そこからその2発は跳弾し私の的に当たったという訳だ。つまり私の点数はー」


 ブルズアイが的を指さす。


「9点だ。これで逆転だな」


(ちょっと、いやこれはかなりマズイかも……)

シャーロットは一気に追い込まれてしまった。



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