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No.50 施設長の顔は四度まで


キビとコウノ、そしてユキチカまでも戦闘不能に追い込まれてしまう。残されたジーナとシャーロットは知恵を振り絞り抵抗する。


隙を突き、ジーナが一撃を食らわせる。

しかし、倒れたのはジーナの方だった。


「え……なんで……?」

「頭部を狙ってくるなんて分かりきった話だ」


ナイフを刺され、痛みで動きが止まったカイ、そこを狙ってジーナは黒鉄を撃ち込んだ。しかしカイは、瞬時に体内へ鎮痛剤を投与することでナイフで刺された痛みから復活したのだ。


そしてジーナの黒鉄を左手で防ぎ、代わりに右拳をカウンターでジーナの腹部にめり込ませたのだ。


「あんな怪我だ、本調子ではなかったのだろう、私が痛みに囚われた意識を戻す方が速かった。あのイカれた殺し屋を相手にした後で、よくあそこまで動けたものだ。非常に興味深い子だったよ」 


「そんな……!!」


地面に座り込んでしまうシャーロット。


「ふん、あとは非力な君だけだ。しかし君は頭が良いみたいだ、どうだ、私の下で働かないか?そうしたらあのお友達は助けてやろう。あの身体能力はこの身体をアップグレードするのにいい参考資料になりそうだ」


ゆっくりと歩きシャーロットに近づくカイ。

すると自身の刺さったナイフの柄にワイヤーがついていることに気づく。


「うん?なんだこれは?」

ワイヤーはシャーロットの手元に伸びていた。


「くらえ!」

シャーロットはポケットから取り出したスタンガンをワイヤーに押し付ける。


スタンガンはもちろん改造済み。

人間どころか中型動物にすら一発気絶の電気ショックが放たれた。


電流はワイヤーを伝ってカイを襲う。


「グアアアッ!!!……なんてな」

「え!?」

全く効いていない様子のカイに驚くシャーロット。


「この施設に耐えるための身体に、こんなのが通用するわけないだろう」


カイはそう言ってワイヤーを手に取る。


「今から君の元に行くよ、シャーロット。さて、もう一度聞こう、私の元で働かないか?もしYesなら君たち二人を歓迎しよう。もしNoならこのワイヤーで……」


両手に持ったワイヤーをピンと張るカイ。


「君の首を絞めて殺す」


シャーロットはカイに背を向け逃げ出す、しかし床に倒れているアンドロイドに足を引っかけてしまい転げてしまう。


それをゆっくりと追いかけるカイ。


「何をそんなに嫌がることがあるんだ?そうか、条件の詳細を聞いていないからか。君はちゃんとしているな、契約の内容は大事だからね」


カイが話す間も必死で地面を這いながら逃げるシャーロット。


「そうだな、君がここで働くとなれば施設長の助手だ、給料は手厚く出すぞ、危険手当とか付けられるものは諸々つけてあげよう。食事だって毎日三食しっかり出すぞ、君が小食なら勿論食事の回数や量は調整する、その際は3食分の時間は休憩として自由に過ごすと良い。ここでの仕事は非常にクリエイティブさを求められるものだ、手さえ動けばいい単純作業じゃない、思考力を高く保つためお昼寝の時間もつくろうじゃないか」


シャーロットは手あたり次第にものを投げる、しかし当然そんなものカイには通用しない。


「ちょっとお行儀が悪いな、ものを投げるなんて。まあ君は育った環境からみてマナーなどを学べなかったんだろう。でも大丈夫、私が教えてあげよう。こう見えても私は施設で働く前は業界では有名でね、ティーパーティーなんかにもよく呼ばれたものさ。テーブルマナーだって一通り教えてあげられるよ」


一切動じずにカイはシャーロットに向かって進む。


「そうだティータイムもしようか?仕事を抜きにしたお話でもしよう、私は君たちに興味があるんだ。お菓子は何がいい?私はあまり甘い物は好みじゃないが、君たちぐらいの年齢なら好きだろう?それとも健康志向でフルーツの方が良いかな?カラ・ジーナは何が好きかな、それも後で聞かないとね」


カイはシャーロットを壁際まで追い詰めた。


「ふぅーふぅー」

息を荒くするシャーロット。


「ふふふ、君のその息遣い、演技か?それとも本心か?」

カイの言葉に目を見開くシャーロット。


「君は本当に賢いな。この場所に私を誘い込んだのだろう?」

そう言って天井を指さすカイ。


「施設のセキュリティシステム、奪ったんだろう?それを私に使う気なんだろう?今まで使わなかったのは倒れたお友達たちを巻き込んでしまう可能性があるから。でもここまで距離を離したら、その心配もない」


「その通りだよ!」

シャーロットがセキュリティシステムを起動させる。


しかし何も起こらない。


「ここは私の施設なんだよ。奪われたコントロール権を取り戻すなんて訳ない。さてまた一つだ、そろそろ策は尽きたんじゃないか?」

カイはそう言ってうっすらと笑う。



「日本には“仏の顔も三度まで”という言葉があるみたいじゃないか、アメリカにも三振法というものがある。不思議な事に3という数字にこだわるんだ。それでいくと先のカラ・ジーナにナイフ刺された事で1アウト、電気ショックで2アウト、そして今ので3アウトだ」


カイはシャーロットの目前で屈む。


「ふっふっふ、側で観るとこんなに華奢なんだな。ワイヤーなんて使う必要が無いくらいだ。この手で充分だな」

ワイヤーを手放して、カイは右手をシャーロットの首に伸ばす。


シャーロットは抵抗するが、簡単に首を掴まれてしまった。


「だが安心してくれ、私は寛大だ。もう一回、4度目のチャンスをやろう。今からゆっくりと、この首を掴んだ手の力を強めていく、その間に返答してくれ。私と共にここで過ごさないか?」


首を掴まれ持ち上げられ、立つシャーロット。


「ま、まって」

「ん?」

シャーロットはカイに向かって声を絞り出した。


「まって……その前に、あなたはここで何をしようとしてるの?エデンズゲートプロジェクトって何?」


シャーロットは質問した。


「そうか、そうか……いやすまない。私としたことが、はははっ共に過ごそうと言っておきながら肝心な部分を忘れていた」


首を掴んだままカイはシャーロットを引き寄せる。


「いいだろう、見せてあげよう。君ならよく分かるはずだろうし」

そういって彼女は歩き出す。


すると部屋の壁が動きはじめ、部屋の奥に更に広い空間が現れた。


その奥には巨大な機械の柱が二本立っており、それに無数のケーブルやパイプなどが接続されている。


カイはシャーロットの首を掴んだまま後ろに回り込む。


「あれこそが幸福への門だ」

後ろからシャーロットの耳元で囁くカイ。


「さっきの話覚えているかな?【後悔】の話だ。【後悔】の対象である過去を変える事は出来ない、しかし、別の過去を持つ世界を選ぶことが出来るんだ。その世界では死別した者であったとしても生きている。その者が死んだという過去は存在しない世界だ。その世界では君のお友達はこんな怪我をしなくて済んだかもしれない、もしかしたら君は素敵な両親の元で暮らしている世界があるかもしれない」


そう言ってカイは一つの映像をシャーロットに見せる。


「これは別の世界の私だ。幸せそのものと言った顔をしているだろう?なのに私をみてみろ、まるで別人のような人相だろ?」


カイは再びシャーロットと向き合う。


「この世は残酷だ、誰かが得れば誰かが失う。だから得る側にまわりたい!それは人間の根源的欲求だ。得るにはどうしたら良いと思う?奪えばいい、もっとも手っ取り早い方法さ」


シャーロットに正面から顔を近づけるカイ。


「あの女が家族を失おうが知ったことか!それがあの女が進む道の末だっただけだ!もうそれもすぐそこだ!最終調整さえすれば、あの世界へ波長を合わせる事が出来れば完成なんだ!」


そう話すカイの表情は狂気そのものだった


「さあ、もうお話はいいだろう! 答えを聞かせて貰おうか?どちらだ?!奪うか奪われるか!!」


シャーロットの首を掴む手に力を込め始める。


「私は……それを幸福とは思えない」

「……そうか、残念だ……。ならば後悔して死んでいけッ!!」

首を絞める力が強まっていく。


カイの腕を掴むシャーロット。


「っ!後悔……するのは……アンタの方だッ!!」

シャーロットはカイを睨みつけた。


次の瞬間シャーロットの首を掴んでいたカイの腕の装甲が展開し始める。

首を掴んでいた手も開き、シャーロットは解放された。


「なにッ!?」

カイは自身の腕を掴むシャーロットの手に目を向けた。


彼女の指先がカイの上腕内側に伸びていた。


「キサマッッ!」

「これでもくらえッ!!」

ポケットから先ほど使用した改造スタンガンを取り出すシャーロット。


スタンガンの先端には鋭利な針のようなものが複数突出していた。

彼女はそれを展開され内部が露出したカイの腕に突き刺す。


「これが本来の使用用途ッ!」

目がくらむ程の光を放つ電流がカイの腕に送られる。


「くっ!!これを狙って!?」


「その身体はこの施設内で生きる上では心臓そのもの、少しでも不調があればすぐにメンテナンスをしたいはず。となれば特殊な工具や機材でしか展開出来ないようにはしないでしょ、だって緊急時に対応出来なきゃ困るもんね」


シャーロットの言う通りカイは身体のメンテナンスには何よりも気を使っていた。その為体の重要な部分はすぐに展開して見れるようにメンテナンスモードに切り替えるスイッチが取り付けられていた。シャーロットはそれを見つけ作動させたのだ。


「君は少々賢すぎるみたいだなッ!」

カイが睨みつけ凄んだ。


「もう君の命を奪うしかなくなったぞ!シャーロットォッッ!!」

カイは左手で大型拳銃を取り出す。


「本当、大人って身勝手。バカだと怒るし賢くても怒る」


「腕一本程度で良い気になるなよッ!この銃で、その小賢しい脳みそごと頭を吹っ飛ばしてやる!」


シャーロットに銃を向けたその瞬間、横から強烈な光が。

「な……に?!」


そして一瞬にしてカイの持つその銃と左手を蒸発させた。



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