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No.105 合流


 カイを殺した後、ヴァ―リは研究室に来ていた。

 研究室では他の者が既にいた。


「逃げられたようだな。その上カイ博士を殺してしまうとは、かなりの損失では?」


 部屋の中にいる男がヴァ―リに話す。


「研究室にこもって一切の手助けもしなかった癖に、随分と上からの物言いだな」

「私はここの警備員として契約した覚えはない。私は貴方の言う役目を全うしていただけだ」

 男はモニターに顔を向けながら、ヴァ―リに言い返した。


「当然だ、遊ばれていては困る」



「さて、話を変えよう。オニツノの件だが」

「ああ、どうだ彼女は」

 ヴァ―リはガラス壁の前に立つ。壁の向こうには手術台があり、その上には傷だらけのオニツノが拘束されていた。


「まるで猛獣、いやそれ以上か。常人なら昏倒するレベルの鎮静剤でも効果が見られなかった。今はなんとか静かになったが。あの手のは投薬量の調整が面倒だ」


「勢い余って死んでしまったらそれまでだ。気にせず改造手術を続けてくれ」


「よかった、こちらもそのつもりで進める予定だった。では強化外骨格との神経接続手術を実行する。本来は義足義手をつけてやりたかったが」


 天井から機械のアームが現れ、オニツノの手術が始まった。


「せっかくの肉体だ、わざわざ切り落とす必要もないだろう」

 ヴァ―リは手術の様子を見ながら話す。


「あの男はどうだ?」

「ガンマですか、彼はとりあえず脚をつけてやりました。これで狙撃以外の仕事も出来るでしょう」


 手術をしながら男は報告を済ませた。


「あれも興味深い男だ、まさかコールドスリープを別の機関も行っていたとは。それも大戦前から。だが不完全な設備故に彼の脚は凍傷で回復不能。今頃脚をもらえて喜んでいるだろう」


「彼はまだ世界大戦中だと信じ込んでいる。どれだけ今がそれから半世紀以上も経過した世界だと伝えても聞き入れやしない」


「だから君には彼の上官として振る舞ってもらっているんじゃないか。同じ国の生まれなんだろう?」


 画面をみながら男は首を振る。


「私は研究者だ、俳優じゃない」


「そういうな、彼は上官の命令なら改造手術ぐらい喜んで引き受ける。君からしても良い部下じゃないか……バベッジくん」


 ヴァ―リは端末を操作し始める。


「あの天才の子孫、君の娘も素晴らしい才能を持っている。彼女はなぜかラストネームを言われるのを嫌うがね」

 

 彼はシャーロットの画像を出し、バベッジに見せようとする。

 画像は彼女達が警察に追われながら船に乗り込んだ時のものだった。


「娘か、顔も覚えていない」

 ヴァ―リの端末を一瞬だけみて、画面に目を戻すバベッジ。


「酷い親だな」

「親の役目を全うしない私は死ぬべきか?私は親である前に研究者だ」

 そう言ってバベッジは手術を再開する。


「それを決めるのは私ではない。この世界が決めることだ。君にはバトルボットの開発及び改良により一層励んでもらいたい」


「元より最大効率で稼働している。島に配備するぐらいの量なら間に合う。本当に連中は来るのか?ウルティメイトに戦争を仕掛けるなど、ただの自殺行為だ」


「それをするのが連中だ」




 ある日の朝、特訓を乗り越えるエネルギーを得る為に朝食を取りに食堂に現れるジーナとシャーロット。


「今日の朝ご飯は何かなー」

「何だろね」

 食堂につくと丁度ウルルが料理を運んでいる所だった。


「おはようございます、ジーナ様、シャロ様」

 二人は席に着くと、他の者もぞろぞろと現れ席に座る。


「いただきまーす!」

「いただきます!」

 ジーナとシャーロットを始め、他の者達も食事を始める。


「美味しい」

「うん、おいしいね」

「それは良かったです、ジーナ様、シャロ様」

 二人が食べる様子を見て微笑むウルル。


「美味しいー」

「ありがとうございます、ユキチカ様……え」

 ユキチカの方へ振り向くウルル。


「えええ!」

「なっ……え!?」

 ジーナとシャーロットが立ち上がる。


「ユキチカ!いつの間に帰ってきたんだよ!」

「さっき」

 その場にいたキビも声を上げて驚いた。


「そんでお前はキリサメ!普通に飯食ってる!」

「ん」

 ユキチカの隣に座るキリサメが小さく頷く。


「ユキチカァァァ!無事だったんだな!父さんは信じてたけどなァァァ!」

 ユキチカに勢いよく抱きつくヤスシ。


「ダイギぃぃぃ!」

 その反対側からシドーも抱きつく。


「やかましい男どもだ」

「うるせぇキビ!息子が戻ってきたのに喜ばねぇ訳に行くか!」

「そうだそうだ!」

 涙を流しながらユキチカに抱き着くヤスシとダイキ。


「親バカどもめ」



 ヤスシとシドーが落ち着くまで少しばかり時間がかかった。


「ようやく会えたなダイキ!そうだこの身体返すぜ」

「そうだね」

 ようやく泣き止んだ所でシドーがユキチカにそう言う。


「ん?そうなるとシドーさんはどうなるの?」

 シャーロットが質問した。


「ぼくの身体と交換こ。ご飯食べたら準備するよ」


「身体の交換、もうなんか聞き慣れて来ている自分がいる」

「分かる、感覚が麻痺してきた」

 ジーナとシャーロットは朝食をとりながらそんな事を呟いた。



 朝食後さっそくユキチカは身体を交換する準備を始める。


「まず、身体の交換から〜」

 シドーと共に椅子に座り、彼は淡く光るシールのような物を取り出す。


「じゃいくよー。これ貼ってね」

「おう!」

 ユキチカとシドーは自分にそのシールを貼り付ける。


「んー!おっけー完了!」

「おー終わったか」

 二人はすぐに動き始めた。どうやら入れ替わりは完了したらしい。


「ずいぶんあっさりと」

「え、そんな端末のデータ通信みたいに」

 ジーナとシャーロットがそう言っているとシドーが立ち上がる。


「おー!なんだこの身体、めっちゃ軽いな!」


「シドーが使いやすいようにしといたよ。体格はシドーの元の身体といっしょ!」

「うううっ、どこまでも優しいなお前は!」

 シドーがまた涙を流す。


「よーし次!マチェー!フレーム!」

「はいはい、こっちだ」

 マチェットに連れられデスバリ―社の工房にやって来た。


「これって……」

「見た事ある」

 ジーナとシャーロットも一緒について来ており、工房にあるものを見た。


「ユキチカに頼まれた外骨格フレーム。基礎的な部分は全部できてる」

「これをどうするんですか、ユキチカ様」

 ウルルがユキチカにきくと彼はフレームの前に走っていく。


「さいきょーアーマー作る!インファマスのみんなにも」


「へぇーじゃあ私達にも貰えるんだよね。そのアーマー」

 ジーナがそう言うとユキチカはキョトンとした。


「え?来るの?みんな?」


「当たり前でしょ」

「そのために絶賛訓練中なんだから」

 ジーナとシャーロットがそう返す。


「……でも」

 ユキチカがうつむく。


「ダイキ、この子達はもう覚悟決めてんだ」

「腹くくった仲間にグチグチ言うもんじゃねぇぞ」

 キビとシドーがユキチカの肩を叩いた。


「うんわかった!みんなのも作るよ!」


「そんじゃあユキチカの方が終わるまで私達も準備を進めるぞ。つーわけで2人共!特訓再開だ!」


「「はい!」」


 ついにユキチカとキリサメまでもが合流し、皆は決戦への準備を着実に進めて行くのであった。



ここまで読んで頂きありがとうございました!

今後も投稿していこうと思うので評価、コメントなどして頂ければ励みになります!

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