表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.201~No.300】

神か悪魔か 【月夜譚No.285】

作者: 夏月七葉

 狼を従えていたのは、大人しそうな少年だった。

 濃い灰の毛並みをした狼は闇夜に溶けるようだが、少年の髪は長く白銀に輝くから、月光に照らされてよく目立つ。神々しさすら感じるその姿からは想像もできないほど、彼は残酷なことを成した。

 夜空を仰いでいた少年の瞳が下りてきて、自身が立つ丘の下を臨む。そこにあるのは静かな闇ばかりで、先ほどまであったはずの人の気配が一切ない。聞こえるのは獣の息遣いと前脚が下草を踏む音。

 傍らにいた一頭の狼が少年を見上げると、彼は目を細めてその頭を撫でた。

 彼が神だというのなら、邪神に違いない。或いは、神の振りをした悪魔だ。

 徐に持ち上げた指先を口に咥えて音を鳴らす。すると、闇の中から丘の斜面の月光の下に何頭もの狼が現れる。そのどれもが、毛並みを赤に染めていた。

 少年が身を翻して去っていく後を、狼達が付き従う。

 闇夜に残ったのは、無惨な光景だけだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ