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サンタクロースのリアルな実態

作者: モ虐

サンタクロース。

世界一名の知れたおじいさんだろう。

12月24日(クリスマスイブ)の夜中に現れて、子供のために毎年プレゼントを配って回るとても心優しいおじいさんだ。

心の汚れた大人たちは、「サンタクロースなんかいない」と言うが、

サンタクロースは実は、影で思いもよらない努力をしていたのだ。

これはそんなサンタクロースの、ある年の1日を描いた物語である。





ある年のクリスマス。

日本担当のサンタクロースである私は太平洋側から日本に接近しながら空を飛んでいた。

九州が見えてきた。高度を下げていくと、海上自衛隊に見つかった。

物騒な装備をたくさん保有しながら、「自衛のためだ」と言い張る彼らは、正直かなり怖い。

「そこのヘリ!今すぐ降りてきなさい!お前が自衛隊じゃないのはわかっている!」

どうやらソリの2本の足の部分がヘリの降着装置にでも見えたのだろう。

そうなると今彼らからは、「トナカイのようなおかしな飾りをつけたヘリが飛んでいる」

と言うふうにでも写っているのだろうか。

このまま上陸しても近隣住宅に騒音による迷惑をかけるだけなので、大人しく彼らに応じるすることにする。


「な、なんだ?そのソリ、どうやって飛んでるんだ⁉︎それにそのトナカイみたいなのって………本物?………なのか?」

「ああそうじゃよ。このトナカイは本物じゃ、そしてこのソリは私の魔法で飛んでおるんじゃよ。

子供たちにプレゼントを運ぶために。」

「あぁ!サンタクロースさんでしたか。大変失礼致しました。どうぞ。行ってくださって構いません。」

行ってくださって構いませんって………少し上からな感じが少し気に食わないが私は彼らよりもずっと大人だ。

少し堪えることにする。


少し……堪えて…………やばい無理かもしれない。


そう思い即座にこの場所を離れた。


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大幅な時間ロスをしてしまったので急がないといけない。


サンタは複数人で分担して作業を行うが、1つの国を担当しているほどベテランのの私でも流石に一晩で全ての子供の家を訪ねるのは難しい。

窓が空いている家は、窓からプレゼントを投げ込むこともあるのだが、やはりどうにかして家に入り込む必要があることもある。

子供の両親が玄関のドアを開けていてくれることもあって、そう言う時は非常に助かるのだが、

たまに大豪邸なんかに行くと、強固なセキュリティで警備されていてなかなか入り込めなかったりする。

SE◯OMとかA◯SOKを呼ばれるなんてしょっちゅうで、そうなった場合逃げるのが非常に面倒だが、警報を鳴らした家と正体を見てしまった子供にプレゼントを持って行かないと決めているので、なってくれたら来年楽できると言う嬉しさもある。


だが今日は少し違った。

初めて入る家なのだが、入ろうとした瞬間2種類の警報が鳴り響く。

まさかSE◯OMとA◯SOK両方を同時に呼ばれるとは思わなかった。


最近はセキュリティを重点に起きすぎているせいで、こう言うのがめんどくさい。

昭和なんかは色んな家のドアの鍵が開きっぱなしで、ある年は全部の家の玄関が空いていた。

だが今はそうはいかない。警報が2つもなったのだ。この家にプレゼントを届けるのは無理だ。


そう思って私はこの家を後にした。


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これで最後の一件だ。

メカニカルキーボードが欲しいと言っていた機械オタクの子に来たのだが、この家は親切なことに窓が空いていた。

彼は小学2年生らしく、最近機械いじりにハマったそうだ。

状態のいいパソコンの部品なんかをハー◯オフで買い集めて組み立てているらしいが、キーボードはしっかりとした新品のものがいいらしい。

家に入り、玄関を出るとリビングが見えた。

小さなテーブルがあり、手紙と手作りのクッキーとミルクが置いてあった。

手紙には「サンタクロースさん。来てくれてありがとうございます。

お礼に、クッキーとミルクを置いてあるので食べていってくれたら嬉しいです。」


可愛らしい心遣いだ。

この子の家が最後だし、時間もまだ1時だ。今年は割と早めに終わったからこの家で少しゆっくりさせてもらうのも悪くない。

プレゼントを枕元に置いたら食べよう。

そう思って私は彼の部屋へ行った。

手紙に部屋の行き方まで詳しく書いてくれたおかげでスムーズに辿り着けた。

本当にありがたい。


ドアを開けると、彼は寝ていた。

だが、ドアを開けた時に、ピタゴラ◯イッチにでも出てきそうな大掛かりな仕掛け(ただしところどころに基盤が使われている)が動き出し、途中で、私にはクリーム砲が飛んできた。

こんなのドッキリ系のテレビ番組でしか見たことがないが、彼はどうやって再現したのだろう。

最後は大きな音を鳴らして彼を起こした。

ちょっとこれはびっくりした。


「やったぁサンタさんに会えた!」

と彼は喜んでいたが、「坊や、すまない。君に正体を見られた以上、このプレゼントを渡すことも来年ここに来ることもできなくなってしまった。」

そう言って私はこの家を後にした。


サンタクロースの中で一つ取り決めがある。

‘子供に見られてはいけない“

子供が私たちの存在を見たら、今年分も、来年分以降もプレゼントを渡してはいけないというルールだ。


クッキーを用意してくれた心優しい子で、きっと好奇心から私を一目みたいと思っただけなのだろうが、規則なのだ。

彼には申し訳ないが。こうするしかないのだ。



今年は少々心の痛むクリスマスだった。






サンタクロースは、今晩子供のためにやってくる。

子供達はサンタクロースからもらうプレゼントを楽しみに待ち、眠っているだろう。

しかし、イタズラや夜更かしはいけない。サンタクロースの気分を害すると、今年のプレゼントがもらえないだけでなく、来年から来てもらえないかもしれない。

みんなが、暖かくサンタを迎え入れることを祈って。








モ虐






メリークリスマス!

皆様に素敵なクリスマスが訪れますように。心をこめた書かせていただきました。

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