国を追われた王子
異世界で当たり前にある
貴族、身分、魔力、才能、身分。
現実世界も同じだった。
学力、能力、才能、学歴。
腐る程頭に巡る不快感。
だから俺はこの世界に復讐すると誓った。
朝日が昇り、俺は廃屋から外へと出る。
一面何もない荒野。
俺の名は、アクセル・フォン・ヘンゼルスト(8)。
ヘルゼスト王国の第一王子として産まれたが、忌まわしい闇魔法の才があると言うたった一つの理由だけで、王族からも国からも追放された。
王妃だった母や、国王だった父は、俺を庇ってくれたが……父の弟だった伯父は、他の貴族と共に内乱を起こして両親を殺し、子供だった俺を追放したんだ。
何もない不毛の大地に追放されてから10日。
前世が30まで生きていた記憶もあるし、生前アウトドアや山登り、ハイキングが趣味だったからか、俺は自由を満喫していた。
奪われたなら、力を付けて奪い返せば良い。
仇は必ず討つ。
俺は自分の身体を鍛えつつ、復讐心を募らせながら生きていた。
そんなある日。
ヘルゼスト軍が手勢を率いて走り去るのを見た。
方角からして、先にある村はエルフが住む集落だ。
エルフは基本、国を持たず各地に散らばり独自の集落を作って住む。
人間よりエルフの方が魔術に長けている。
だが、人間が魔道具を駆使してエルフに闘いを挑むなら話は別だ。
胸騒ぎを感じた俺は、黒いローブを纏い顔を隠ししてヘルゼスト軍を追い掛ける。