プロローグ - 砂の始まり
全財産を賭けてギャンブルに興じる人、酒と煙草を嗜みながら人生の悩みを語る人、今日も一日生きるために他人に物乞いをする人、今夜だけ生きるために他人に犯罪を犯す人......。
人と動物の鳴き声が大気を満たす中、一人の真面目そうな男が途切れることのない雑踏の中を歩いていく。
その男は、座って話しているか寝ている人が数人いるだけの路地を曲がった。
数回曲がると、男は伝統的な紫色のカーテンがかかった入り口で立ち止まった。中に入ると、怪しげな、しかし楽天的な風貌の男と、その後ろに立っていた二人の警備員が彼を出迎えた。
「わあ、来ると言っていたのは知っていたけど、実際に来るとは思わなかったよ」
「大事な話があるって、もう言っただろう?」
「ああ、わかってるよ、よし、こっちだ」
そんなやりとりの後、怪しげな男は誰もいない別の部屋へと向かった。
その部屋は伝統的なアラビアの枕とカーテンで飾られ、部屋の真ん中には小さなティーポットが置かれていた。
「さあ、ご自由におくつろぎください」
不真面目そうな口調で言いながら、その真面目そうな男は枕のひとつに歩み寄り、かなり強面だが敬語で座った。
そして、もう片方の枕に座ろうとするもう一人の男に続いて、自分も紅茶を注いだ。
「この紅茶に使われているスパイスと葉はアルファリで作られたもので、高級な味がするんだ」
「いえ、結構です」
「ムードキラーだな」
「この仕事を引き受けることができるのは、おそらくあなたしか知らないからです」
「どんな仕事かにもよりますが......」
「探してほしい人がいるんだけど、その人を見つけるのはちょっと難しいかもしれない。
「そうなんですか?まあ、人探しはうちの会社でもよくやっている仕事だが、君がそのことで私のところに来るのなら、それはちょっと心配だ。
その瞬間、男はバッグからプラチナのようなコインが入った大きな袋を取り出し、目の前の床に全部流し込んだ。
「この人物を見つけることに同意してくれたら、今すぐこれだけ払う」
そして、プラチナコインが床に降り注ぐのを見た瞬間、もう一人の男が抱いていた不安や心配をよそに、彼はためらうことなくすぐに仕事を引き受けた。
「これで一件落着だ、あとは誰を探すかだ!」