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レシピ6 定番のイチャイチャプレイの入れ過ぎは、胸やけを起こすので注意しましょう



 スイーツをトレーにのせた店員が現れた。


「お待たせいたしました。『二人の愛をささやかに見守るキューピットなセット』でございます。

 こちらが『わたしのハートはあなたのモノよ♡ケーキ』と『あなたに会うたび私の心ははじけるの♡ソーダ』です。

 ゆっくりと愛を語りながらお召し上がりくださいませ」


 いちいちメニュー名が恥ずかしすぎだが、おいしそうなケーキとドリンクが運ばれてきた。


 ただし、ケーキもドリンクも一つずつしかない。


 ドリンクには先が二又(ふたまた)に分かれたストローが()してあり、フォークも二人分用意してあるので、これで二人分ということなのだろう。


 一人で食べるには多めのボリュームなので、二人分で間違いなさそうだ。


 シャルトリューズの頭の中で、一人あたりの単価計算が開始された。そしてやはり良心的な値段で提供されていることが確認できた。


 固まっているシャルトリューズの腕を、イエーガーがつつく。


「……シャルトリューズ、無表情になるな。カップルじゃないことがバレるぞ」


「私はいつも基本この顔なの。

 今日だって人のこと顔面プレートメイルって呼んだでしょ。無表情なのは、あんたの方よイエーガー」


「今日それ言ったの俺じゃねえし。

 俺はこれでも顔が引きつりそうになるのを必死で抑えてんだよ。

 ていうかありえなくね? よくあんな恥ずかしいメニュー真顔で言えるよな、ここの店員。聞いてるこっちの方が恥ずかしすぎるぜ」


 だがしかし、ここでもカップルであることを証明するために、避けて通れないミッションがあった。



꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°


 ミッション1:二人で一緒にストローでチューチュー。


꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°



 二人で同時にそれぞれのストローの先端をくわえると、顏が触れ合うほどの至近距離になる。


 ここでも至近距離なのを利用して、店員に聞かれてはマズい内容をささやきあう。


「お前なあ、嫌そうに顔そむけんじゃねえよ、バレるだろうが」


「自分だってそむけてるでしょ。私は15度くらいだけど、あんたは30度くらい。あんたの方が嫌がってる」


「細かすぎだろ、測ったのかよ。

 顔はそむけたかもしんねえけど、目線は向けた。お前の方を見た。ちゃんとカップルっぽいだろ」


「1秒だけだったでしょ。私は2秒は見たわ。私の方がちゃんとやってるわ」


「は? じゃあ俺は3秒見つめてやるよ。俺の勝ちだ」


「じゃあ私は4秒よ」


「なにムキになってんだよ、じゃあ俺は……」


 カップルでないことがバレないか心配している二人をよそに、まわりから見たらただのバカップルがイチャイチャしているだけにしか見えないのであった。



꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°


 ミッション2:食べさせあいっこ。


꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°



「はい、あ――――――――――……」


「長い長い長い、いつまで口開けて待ってりゃいいんだよ。さっさと食わせろよ。意地悪か」


「そう……そんなにケーキが食べたいのね。

 私、あなたのケーキに賭ける執念を甘く見ていたみたい。そうね、ケーキなだけに甘……」


「お前、実はテンション高いだろ。こういうオシャレな店が実は好きなんだもんな。嬉しいんだろ? 素直にここに来れて嬉しいって言えよ」


「なに言ってるの? 私がここに来たのは、どうしてもケーキが食べたいあんたのためよ」


「別に俺は……お前があんまり落ち込んでたから、甘いもんでも食べれば……っ。

 ちっ! じゃあいいよ、俺が全部食うから。ほら全部よこせ」


「ほらやっぱりケーキが食べたいんじゃない。じゃあ……はい……こんな感じで……」


 フォークに乗りきるギリギリの量のケーキを盛り直し、シャルトリューズはイエーガーにフォークを向けた。


「盛りすぎだろお前! 一口でいけるわけねえだろ! なんつー意地悪だお前は!」


「ちょっと。大きな声で文句言わないで。ラブラブじゃないってバレたらどうするの……!

 ほら早く口開けて」


「お前の悪ふざけがすぎるからだろ! 入るかよ!」


 だがしかし、心配している当事者2名は、周りから見ればラブラブイベントではしゃぎまくるバカップルにしか見えないのであった。



「ほら。ちゃんと口を開けないから口の周りがクリームだらけよ。……子供なの?」


「お前がやったんだろうが。だからお前が担当な。

 ……ちゃんとやれよ?」


「わ……わかってるわよ……! いまやろうと思ってたところなの……!」



꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°


ミッション3:口の周りについたクリームをぬぐってあげる。


꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°



 バレないか心配になっている二人は、周りから見たらただのバカップ……(以下略)

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