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Lost Fantasia  作者: 眞弥。
第三章
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第3話 まさかの邂逅

「…で、それからなんやかんやあり、やっと着いた訳だ」


「なんやかんやで済ますな!…はぁ、もういいや。さ、早く港に行こうぜ」



アリアが先導し、港へ行く。が、着いた先で言われたことは。



「…はぁ!?便が無い?」


「はい。昨日、今週分の第1便が出港しましたので、次便は3日後となります」


「え…じゃあ、それまで待たないといけないってことですか?」


「はい、そうなりますね」


「うわ…まじか。ま、しゃあない。それまで待つか」


「そうだな。なんか依頼でもやってるか?」



机に手を付き、少し気落ちしている様子のアリアに対し、ノアが頭の後ろに手を回しながら話しかける。



「お前達にそんな時間は無い」



その直後、後方から誰かが彼等の会話に割って入る。



「…はぁ?いきなりなんだよ、あんた。そもそも人と話す時ぐらい仮面外せ」


「…それもそうだな。それは詫びよう」



その人物が仮面を外す。すると、その仮面の下に現れたのは―。



「…嘘だ」


「ノア…俺は夢を見てるのか?」


「お、おい、どうしたんだよ、二人とも…こいつに見覚えあるのか?」



相対する人物の素顔を見て、呆然とする二人に声をかけるアリア。



「…と―顔だ」



ノアが何か呟くも、アリアには聞き取れず、彼女は聞き返す。



「え?何だって?」


「…アリア、俺達の目の前に居る人は…師匠と同じ顔なんだ…!!」


「……どういうこと?」



突如現れた、師ルイスと同じ顔をしている謎の人物に、レオン達は驚きを隠せないでいた。


先程の場所から少し離れた場所で話をする一行。



「で、あんたはいきなり何なんだ?」



硬直しているレオンとノアを横目にジークが質問する。



「…俺は魔王軍幹部、カイデン様の部下、グリム・リーパーという。訳あってお前達に忠告に来た」


「…俺達と敵対している勢力が忠告だと?何のつもりだ」


「いいから聞け。ここ数日のうちにメイド•イン•ヘヴンと名乗る奴が現れる。お前達はそいつをなんとしてでも撃退しろ。魔王城に来るつもりならな」



「…!何故それを?」



レオンが口を開く。



「…我々は大体の事は把握している。一部の幹部の暴走もな」


「…」


「以上だ。そいつ以外にもあるかもしれんから気を付けておけよ」



そして、グリム・リーパーはその場を去ろうとするが、レオンが最後に質問をする。



「待ってくれ!…本当に師匠では…?」


「無い。お前達を見たのは今日が初めてだ。良いか。次会う時は敵だ。容赦はしない」


「…」



グリム・リーパーは転移魔法を使い、レオン達の前から姿を消す。その場に沈黙だけが残る。



「…おい、レオン、ノア。敵の言葉を信じるのか?あんな話、何も根拠が無いだろう」


「…でも、あまりに師匠と同じ顔付きで…」


「お前達の師はもう居ないんだろう?自分達で言ってたじゃないか」



ジークの言うことは確かに最もで、思わず黙ってしまうレオンとノア。ジークも頭をかき、二人の扱いに困っているようだ。



「…取り敢えずさ、セルノビ着いたんだし、王様に手紙出そうぜ。今日のうちに出しとけば、出発前に返事貰えるだろ」


「アリア…そうだな。この街のギルドに行くか」



◇◇◇



その後、セルノビのギルドマスターに話を行い、手紙を王都へ運んでもらう。


ギルドから出た、直後の事だった。目の前の噴水に、それは居た。



「貴殿達が、勇者御一行で間違いありませんか?」



噴水に座り、聖書を開く仮面の男がレオン達に声をかける。



「な、なんだ、お前…」


「おや、グリムから聞いていませんか?私が来る、と」


「まさか、お前が…」


「えぇ。私こそ、カイデン様の一番の部下、メイド•イン•ヘヴンと申します」


「本当に来やがった…」


「で?何しにここに来た!」



何もしてこない目の前の男に問をかけるレオン。メイド•イン•ヘヴンは聖書を閉じ、質問に答える。



「それは勿論、勇者御一行に会いにですよ。それ以外に何が?」



メイド•イン•ヘブンは指を鳴らし、レオン達と共に違う場所へ移動する。



「な…きゅ、急に…どこだ、ここは?」


「ここは外界ですよ。グリムが騎士と戦った時に使ったのとは、また別ですがね」


「…?」



ヘヴンの言葉に困惑するレオン達。それを見たヘヴンは自分と彼らが噛み合っていないことを理解する。



「おや、貴殿達はグリムがその騎士に何をしたかご存知ない?」


「…何の話だ」


「簡単な事ですよ。グリムが戦った騎士の名はアルフレッド·アッガスです。その名を知っているので―」


「もういい。…そうか、そういうことか。大佐を襲ったのはあいつなんだな!?」



レオンがヘヴンを睨みつけるが、彼はそのまま話を続ける。



「えぇ。貴殿達を魔大陸へ近付けぬ為にね。ですが、主の考えに反し、魔大陸へ来ようとしている。その為、私が本当に主が危惧する意味があるのか、確かめてあげようと思いまして」


「さっきから黙って聞いてりゃ、勝手なこと言いやがって。俺達を試すだぁ?俺達はな、お前なんかに試されなくても自力で魔王城ぐらい行ってみせんだよ!!」



啖呵を切ったノアの言葉に無表情で返すヘヴン。



「我等魔王軍の者が、本当にそんなことをさせるとお思いですか?」



そう言いながら、ノアと一気に距離を詰める。

一瞬の事に反応が遅れるノア。腹部を殴られ、後方へ吹っ飛びかけるが、それをジークが受け止める。



「この戦いはな、お前達がどう思うなど、その段階は終わった。我々を撃退してみせるか、死ぬか。最早それしか道は無いのだよ。分かったか、ガキ」


「お、お前…いきなり何を―」


「戦いは既に始まっている。合図などある訳ないだろう」



突如ノアを攻撃され、激高し、近付いて来るレオンに何かが飛んでくると、レオンも弾かれる。



「これが勇者か、情けない…興が冷めました。貴殿達は私が殺す価値もありませんね」



体勢を崩し、地面に座るレオンを見下ろすヘヴン。


彼がもう一度指を鳴らすと、さっきまでの場所に戻ってくる。

周囲の人々は、突然消え、突然現れたレオン達を訝しんでいる。



「では、私はこれで帰るとしましょう。ですが、最後に一つ。その程度の実力では魔大陸に来た所で、どうやっても生き残れない。そのままの実力でやって来るのであれば、お好きに命を散らすといい」



そう言い残し、魔法陣に消えるメイド•イン•ヘブン。


無力さのあまり、声も出せないレオン。

周囲の人間は彼らに関わることに怯え、一気に誰も居なくなる。


アリアはレオンにどう声をかければよいか分からず、ジークは吹っ飛ばされたノアに、手持ちのポーションをゆっくり飲ませている。



「ありがとよ、ジーク…助かったぜ…」


「済まない…俺に治癒魔法が使えれば…」



拳を握るジーク。唇を噛み締め、悔やんでいる様子が窺える。



「レオン…大丈夫なのか…?」


「あいつ!!ちくしょう…手も足も出ないなんてもんじゃなかった…喧嘩にすら、ならなかった!」


「レオン…」


「遅かったか…」



地面に座り込むレオンに誰かが声をかける。フードを被っており、逆光も相まって顔が見えない。



「…今度は誰だ…?」


「久しぶりだな…という程でもないか。俺だ。この顔を見ても、分からないか…?」


「…お前は」



声をかけてきた人物がフードを取る。それはジークと出会う直前に戦った彼であった。



「マリウス…」



◇◇◇



マリウスに連れられ、とある場所へ向かうレオン達。

ジークは渋ったが、最後は受け入れ、マリウスと一定の距離を取りながら付いてくる。

道中、いくつか質問をするが、マリウスは何も答えない。


答えたのは一つだけだった。



「お前が俺達に何の用だ」


「…。あいつらの、邪魔をしに来た」


「どういう事だ…?」


「着いたぞ」


「ここは…」



マリウスが彼らを連れ、やって来たのはセルノビの東側にある、未開拓地であった。



「こんなとこに来て何を…」


「レオン…お前は、さっきあいつに何と言われた…」


「…」


「何と言われたと…聞いている」


「……勇者として情けない、と」


「これはあくまで…俺の考えだが、お前は決して弱くない。力も、精神も。だが、奴らには勝てない。奴らは、カイデンの駒にしては、強すぎる…俺でさえ、苦戦する相手だ…」


「!?おい、待てよ。マリウス。お前、前に自分が幹部だって言ってたよな。そのお前より強えのか!?」


「…残念ながら…一部には該当している」


「嘘だろ…」



ノアが彼の言葉に絶句する。そこまで沈黙を貫いていたジークが言葉を発する。



「…で!?お前は俺達をここに連れて、何をしに来た!」


「…決まっている。お前達を、強化しにだ…」

新年最初の投稿です。

今年もよろしくお願いします。

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