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乱世の転生者  作者: 情熱のデンプシー
第一部 乱世転生編  第3章 家族
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キャリアプラン


 世界は変われど、ヒトの本質は変わらない。


 誰もが愛し、愛され、愛するものを失うことに恐怖する。


 娘に一言かけることをこらえきれなかった父上も、たった一言で声を上げて泣き出す姉上も、俺のよく知る人間だ。


 現代日本も乱世の世も関係ない。ただのちっぽけな人間だ。


 謹慎中につき、部屋の窓からぼうっと眺めていた俺はそう思った。



 後ろから、扉が開き、ぎいっとした音が聞こえる。



「その……王子……」



 ばつが悪そうな顔をして、アイシャが入ってくる。


 俺と会うのは当面禁止されてるんじゃなかったか……?


 見送りに、父も宰相も元帥も、皆が城門へと集中している。


 姉上と共にセリアへ発つ、オカリナの粋な計らいと言ったところだろう。



 俺は、一瞥すると窓の向こうへ視線を戻す。



 姉上は、立ち上がっていた。


 その後は後ろを振り向くことなく、強く強く踏み出していった。



「よかったですね。サラ殿下……最後に、陛下よりお言葉が給われました」



 アイシャの言葉は重い。


 ひょっとしたらこの王城内での姉上の一番の理解者は、身分の低い彼女であるかもしれない。



 それでも俺は、認めたくなかった。



 あんなものが、よかったなんて思いたくなった。



(気にくわない……)



 異国の地に嫁に行く娘に、一言だけしか与えない父も。

 そんな一言に喜んでわんわん泣き出す娘も。

 それが常態化するこの世の中も。


 全てが気にくわなかった。



 父の立場も理解できる。


 ただ生き延びる事すら難しいこの乱世。


 真っ先に矢面に立つ民草は、王に救いを求めるシステムだ。


 だからこそ、王はヒトであってはならない。

 王の肩には、幾万の命が載せられているから。


 その考えは、間違っていないと思う。


 間違っているのは時代であり、社会の方なのだと思う。


 ならば俺は―


 俺の目指すべきビジョンとは―




「乱世を終わらせる」




 覚悟を込めて口に出す。


 心の靄が晴れ、すっきりとした。


 言語化ってやつだ。



「本気ですか……」



 後ろで聞いていたアイシャが真面目な顔で語る。


「それは群雄割拠のこの天下を、統一することに他なりませんよ」


 7歳児の妄言を、しっかりと真面目に聞いてくれる。


 いつもなら、子ども扱いして取り合ってはくれない。

 彼女なりに心境の変化があったのかもしれない。


 だから、俺はそれに応えて真面目に返す。


「そのつもりっ!」


「ええーっ!そんな軽く……」


「軽くない、いたって真面目さ。振って振って振って。考えて考えて考え抜いて。ようやく出せたビジョンだよ!」



 人生は楽しんだものが勝者だ。


 俺は、この世界を楽しめない。


 なら、世界の方を変えてやる。



 年頃の娘なんて、父親のことをうっとうしいと思ったほうが健全さ。


「アイシャ。あなたが父に忠誠を誓っているのはよくわかった。だけどさ。そんな父もいつかは退位する。俺が後を継いで王となった時、国を指導する立場に立った時、そのときはさ。力を貸しておくれよ」


 にっこりと笑い、アイシャに向かって手を伸ばす。

 前世の世界での、仲直りの証。


 シェイクハンドってやつだ。


「………王子は、ほんっとおにっ、私がいないとダメなんすねぇっ!!!」


 手を取るアイシャの顔はみるみるうちに赤く染まり、最期には鼻水垂らして泣き出した。





 春を迎えてもうすぐ8歳。

 ビジョンが固まりキャリアプランを描くとき。

 乱世統一天下泰平。


 さあ、第二ラウンドだ。面白くなってきたね。





 大陸歴1538年。長姉サラ・エメラルドの嫁入り。


 雪の溶け切らない、寒い寒い初春のこと。


 「彼」は、大望を胸に燃やした。



 「彼」が人(・)質(・)と(・)し(・)て(・)国(・)を(・)出(・)る(・)、3年前の出来事である。



  乱世の夜明けは、まだ遥か先のことである。




これでディムル幼少期編は終わりです。

いかがでしたでしょうか?


今後は舞台を国外に移して、ディムルをどんどん活躍させていく予定です。

第2部も是非ご覧ください!


「続きが気になるぜー」「第2部も楽しみだぜー」となった方は是非コメント・評価・ブックマークをお願いいたします!


筆者魂が震えあがります、笑


これまでの間に評価・ブックマークをしてくださった皆様、本当にありがとうございます!!


筆者魂が痙攣起こしました、笑笑


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