坂の下の少年
ある夜のことだ。
食事が終わり、アイシャが湯を浴びてる隙に、俺は部屋を抜け出す。
こんな月明かりのいい日に、部屋で寝転がってるなんてもったいない。
さて、今日はどこへ忍び込もうか
毎回父の書斎に潜り込んでいるんじゃ芸がない。
今日は軍議の間か、文官たちの資料室か、たまには町に繰り出すのもいいかもしれない。
場末の居酒屋でみんなで盛り上がって……いやさすがに7歳児じゃむりか。
そんなことを考えていると、坂の下に子供の姿が見えた。
小学生、年は自分より少し離れている。それくらいの少年だ。
二人いる姉を除き、城内で子供を見たのは初めてだ。
その少年は身の丈ほどの木剣を使って大木を叩く。
何度も何度も、滝のように汗を流しながら苛烈な動きで打ちまくる。
俺は、眼が離せなかった。
その少年のあまりに懸命な様子に。その少年のあまりに必死な形相に。
大木を打つ音は、まるで悲痛の叫びのように聞こえた。
「なに見てるんですか、王子」
「僕の眼には君しか映らないさ」
「……」
「……」
「さらばだ」
「逃がすか」
その夜も、アイシャとの追いかけっこが始まった。
お待たせしました!(待っている人がいると信じて!)
今回は導入ということで超短いですが、第2章スタートです!
「続きが気になるぜー」「この少年は誰なんだー」となった方は是非コメント・評価・ブックマークをお願いいたします!!
作者の気持ちがほっこりします、笑




