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乱世の転生者  作者: 情熱のデンプシー
第一部 乱世転生編  第1章 師弟
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アイシャの祈り


「これでぇえええええ、終わりいいいいいいっ!!」


 がんっ!


 敵兵の後頭部がつぶれる音がした。

 叩き潰されたソレは醜くひしゃげ、血だまりに沈む。 


 浴びた返り血を意にも返さず、アイシャはその場に横たわる。


 群衆に紛れた敵の刺客たち。


 彼らはあらかじめ用意されていた援軍の到着により、あっという間に壊滅した。


 援軍たちは敵と通じていないと確信できる、この国子飼いの精鋭たちだ。

 事態はいともあっさりと収束した。


「あっちは無事かな?」


 ぽつりと呟く。


 一番最初に浮かんだのはもちろん王子だ。

 あの可愛い王子に何かあったら、自分は海よりも多くの涙を流すだろう。

 幼少からお世話をしてきた自分にとっては、あの子は我が子も同然の存在だ。


 しかし、王子の後をイリーナはすぐに追い、先ほどラモス将軍も追いかけた。


 ならばきっと大丈夫、と考えることにする。


 むしろ心配なのは……


(イリーナ……)


 彼女が上に対してこの作戦を提案した時は、大変驚いた。


 だが、止める者はいなかった。


 彼女は既に覚悟を決めていたから。


 私も止めなかった。


 立場が逆なら、私も同じことをしたから。


(ちゃんと、生きてるんでしょうね……)


 あんたが死んだら、自分のせいだと王子が悲しむ。

 何より、止めなかった自分が許せなくなる。


「生きてなさいよ……」


 アイシャは、異種族の友の無事を祈った。



◇◆◇◆◇



 ごうごうと、燃え盛る炎が俺たちを囲む。

 燃える屋根の上、俺たちは準備を進める。


「殿下ぁ、屋根燃やしちまっていいですかい」


 着火しているのはラモスの炎魔法だ。


「弁償すればいいじゃないですか」


「簡単にいいますのお」


「良質な宝石を産出するこの国は、他国よりもお金持ちなり。今日習いました」


 イリーナの頬に触れる。温かい。当然だ。彼女はまだ生きているんだ。


「それを知ったのも、外に出してくれたイリーナのおかげです。だから死なせません。絶対に」


『スリープ』


 幻惑的な光がイリーナを包む。

 

 イリーナのまぶたを手で触れてみる、眼球運動は感じ取れない。うまくレム睡眠に入ったようだ。


「気を失っている相手に催眠魔法をかけていかがするおつもりです?」


「血圧をさげるためです」


「……今儂が刀をあぶっているのは?」


「殺菌です」


「はあ、さいですか」


 ラモスは的を得ないようにうなずく。


 無理もない。俺が言っているのはまだこの世界で発見されていない考えだ。


 それを、俺がやる。イリーナを救うために。


「さあ、手術を始めます」



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