〚虹色のティアラ〛
親愛なるTiLAさんへ捧げる、童話風の詩です……
それは心に雨が降った後
彼女の髪に輝いていた
雫のティアラだった
透明のダイヤモンドみたいな宝石のティアラ
キラキラ輝くティアラ
僕は、素敵ですね
とその髪飾りを褒める
「Really?」
彼女は驚いた様に髪に手を当てる
金の髪に、碧い瞳の彼女は
妖精だった
彼女とは、この間も、心に雨が降った後に出会った
不思議な出会いだった
此処は、何処ぞともつかない、不思議な空間
語学に堪能でもない僕でも
彼女が「本当?」と言ったのが解った
透明なオーロラ色の羽を震わせて笑った後
彼女はふと僕の頭を指差して何かを言った
残念ながら聞き取れなったが
僕はとりあえず頭に手を当てた
硬いものに触れた
手に取ってみて見ると
それは虹色のティアラだった
男の自分には、到底似合わない物
鮮やかなルビーの赤色
マンダリンガーネットの弾けるオレンジ色
希望の光のイエローサファイヤの黄色
穏やかなエメラルドグリーンの緑色
海の色のタンザナイトの青色
沈む夜の色のインディゴライトの藍色
夜明けの色のアメシストの紫色
七色の宝石の様な煌めきを秘めた
ティアラだった
僕は思った
このティアラこそ
彼女に相応しい
僕はシンデレラの王子の様な気分になって
彼女の前で片膝を折った
彼女が首を傾げた
どうしたの? と
彼女の美しさをいざ前にすると
緊張する
真っ赤になって僕はティアラを差し出す
言葉は見つからない
彼女は頷き
僕の意思を汲み取って
自分のティアラと虹色のティアラを交換してくれた
虹色のティアラを頭に抱いた彼女は
妖精の女王の様に気高くそして美しかった
そんな彼女に僕はたどたどしく言う
「I`d like to know your true feelings.」
(君の正直な気持ちが聞きたい)
彼女が目を見開く
そして蕾が綻んだ様な花の美しさで微笑んで
一言、くれた
それで僕は充分だった
虹色のティアラがキラリキラリと光って眩しかった
僕は目を閉じた彼女の頤にそっと手を添えて、顔を近づける……
後に、同じ様に透明の羽が生えた僕に
彼女は語ってくれた
「I nearly wept for joy.」
と……
僕が彼女と同じ国の住人になる為には
幾つもの試練が必要だったが
此処で語る必要は、きっとないだろう……
~Fin~
お読み下さり、本当にありがとうございます。