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 「お前さんはどのくらい戦えるんじゃ? 与えられたギフトはなんじゃ?」


 「ダンジョンから出てからは動物か魔物かわからないようなやつを数体倒しただけで、実際俺がどれくらい戦えるかはよくわからんな。ギフトは<属性付与>ってやつだ」


 「それじゃあどれくらい戦えるかはわからんのぉ。それにしても<属性付与>というのは初めて聞くギフトじゃが、いったいどんなギフトかはわかっておるのか?」


 「ああ、<属性付与>ってのは父さんも母さんも知らなかったみたいだが、どうやらどんな攻撃にもどんな属性を付与できるみたいだな」


 「なんじゃそれは! 完全にイービルのギフトの上位互換じゃな……」


 「父さんも同じようなことを言ってた気がするな」


 「それだけのギフトならある程度使いこなせるようになるだけでもかなりの力になるぞ。せっかくじゃからわしのところでギフトを使いこなすための訓練でもしていくんじゃ」


 「いやもうある程度使いこなせるけど」


 「なに?」


 「いやもうある程度使いこなせるけど」


 「は? 嘘をつけ! そんなわけないじゃろが! お前さんはまだ13歳ぐらいなんじゃろ?」


 「ああ、たぶん」


 「その若さでそのレベルのギフトを使いこなすのは不可能じゃ! ……そうじゃな、ではわしと少し手合わせでもしてみるかの」


 「ああ、いいぞ」


 「では早速外に出て手合わせでもするかの。ついてくるんじゃ」


 俺はじいさんと外に出た。かなり広い整地された空間があり、自由に戦えそうな場所となっている。


 「昔はここでイービルやアイリに訓練をつけてやったもんじゃ。もちろん他の【百の秘宝】のメンバーである、アレン、ナタリア、デルロイ、アルベルトにもじゃがな」


 「そうか」


 「まさかここでそのイービルとアイリの息子にも訓練をつけてやることになるとはの……。では遠慮せず好きなようにかかってきなさい」


 「わかった。じゃあ行くぞ」


 俺はじいさんから少し遠めに距離をとり、魔法の袋から弓を取り出し構えた。


 「弓じゃとっ?」


 矢は撃ち尽くせないほどの量が魔法の袋の中に入っている。俺は遠慮することなく矢をどんどんと放つ。その一本一本には全て違った属性を付与している。


 これだけの距離をとっていれば、遠距離攻撃ができないと手も足もでないだろう。


 「くっ! いきなり矢を連射してくるとはっ!」


 じいさんはぶつぶつ言いながらも俺が放った矢を全て避ける。


 「ちっ」


 しかしどうやら避けているだけで反撃がない。もしかすると遠距離攻撃はできないのかもしれないな。

 それならとりあえずは矢を放ち続けるだけだ。



◇◇◇◇



 こやつは遠距離攻撃が主体なのか? さっきから矢でしか攻撃してこんな。しかし矢の精度はかなり高いし、しっかりと様々な属性が付与できておる。もしかすると本当にあのギフトを使いこなせるのかっ!?


 それにしてもさっきから避け続けてはおるがこのままでは打つ手がないのぉ。それにやつの近距離戦闘も少し見てみたいしの。ここはさすがにわしもギフトを使うしかないかのぉ。


◇◇◇◇


 さっきまで矢を避け続けていたじいさんが急に止まった。


 なんだ? いずれにせよチャンスだ!


 俺は集中して矢を連射する。


 それと同時にじいさんが手のひらを前に突き出す。すると連射した俺の矢が全て空中で止まってしまった。


 なんだっ!? ギフト能力かっ!


 すると止まっていた矢の向きが180度回転し俺の方に向かって飛んでくる。


 「なにっ!?」


 俺は飛んできた矢をかろうじて避ける。


 危なかった! いったいどんなギフトだっ!?


 態勢を立て直し、じいさんの方を向くがそこにはもう誰もいない。


 くそっ! どこに行ったっ!?


 左の方に気配を感じ、急いでその場から飛び退く。するとさっきまで俺がいた場所を剣が通り過ぎて行った。

 

 「今のを避けるとはなかなかやるのう」


 俺は急いで武器を剣に代え、じいさんに向け剣を振る。

 


◇◇◇◇



 まさか剣の腕もこれほどとは! 技術こそわしのほうが上じゃが、単純なパワーとスピードならこやつのほうが上かっ! しかも剣にもしっかりと属性が付与されておる。まさか本当にここまで使いこなせているとはのぉ。


 このままでは少し不利じゃな。ある程度の実力は確認できたことじゃし、そろそろ決めさせてもらおうかの。



◇◇◇◇



 何度も何度もじいさんと剣を交えているが、徐々に俺の方が押してきている。


 このまま攻めていけば勝てるかも。と思った瞬間、急に剣が重くなる。


 なんだっ!?


 その瞬間にできた俺の隙を逃さずに、じいさんの剣が迫る。


 俺は瞬時に持っていた剣を手放し、素手での格闘に切り替えようとしたが時すでに遅し。俺の目の前でじいさんの剣が寸止めされていた。


 くそっ!


 「ほっほっほ! 惜しかったのう!」


 「くそっ! よくわからんギフトを使いやがって! こっちだけギフトがばれてたんじゃあ、俺の方が不利じゃねえか!」


 「まあまあ、ただの訓練なんじゃから勝ち負けは気にしなくてもよいじゃろ」


 「ちっ!」


 「しかしお前さんの言っていたことは本当じゃったのう。まさか本当にここまでギフトを使いこなせているとは……。剣技も弓技も実力は十分じゃし、もう既に十分な強さを身に着けているようじゃの」


 「だから言ったじゃねえか。もうギフトは十分に使いこなせているって」


 「いやあ、すまんかった。だがお前さんのギフトについてはまだまだわしのところで学ぶことはたくさんあるぞ」


 「俺のギフトはそこまで複雑な技術の必要はないはずだ。今のレベル以上に使いこなすとなるとあとはもう経験しかないんじゃないか?」


 「そんなことはない。お前さんはイービルとアイリから知識を学んだんじゃろ? たしかにあの二人は強いし、あの二人から学べば十分な知識を得ることができる。しかし、あくまでその知識は13年前のものじゃ。わしは今でもギフトについて研究を続けておるし、13年前と比べると新しい知識もたくさんあるんじゃよ。その知識を活かすことができればすぐにでも数段強くなることができるはずじゃ」


 「新しい知識?」


 「そうじゃ。わしの考えではお前さんのそのギフトはまだ30%以上もその力を発揮できておらん!」


 「なんだとっ!?」


 「まあわしを信じて少しここで修業をしていくといい。ギフトの知識においてわしの右に出るものはいないと自負しておるぞ」


 「わかったよ。なら俺にその知識とやらを教えてくれ」


 「いいじゃろう!」


 そうして俺はじいさんのもとで修行することとなった。


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