あくまで飽くまでアクマなんだよ
私は、さっきまで誰と居たんだろう?。
こんな恐怖を感じたことがない、背筋に走る電撃にも似た何か。
記憶とはこんなにも浅はかで、未知なるものなのだと何故か唐突な冷静さが押し寄せてくる。
頭に突如となく声が流れてくる。
『君の現実は、現実ではないよ』
『これは、誰かに仕組まれたフェイクの世界』
『君の友達を取り戻したいなら今すぐ波風公園まで来て』
『神の仔羊達が待っている』
何を言ってるんだ、この訳もわからない状況で頭に直接話しかけるとか現実ないでしょ?。
と、私は思うのだが、今自分の置かれてる状況よりも冬ちゃんを助けたいという気持ちで体が動き出していた。
カバンを投げ捨て、母の手を振り払い、玄関を裸足のまま飛び出していった。
波風公園に戻ると、そこには13人の少年少女が立っていた。
皆、焦燥感や嫌悪感等、各々個人苛立ちを隠しきれない様子である。
そこにいきなり小さい天使?妖精?猫?の様なよくわからない生物が舞い降りてきた。
その生物の見た目はこの世の物とは到底思えない程に美しく、神々しい光を放っている。
その生物が私たちに向かって話しかける。
『えー、皆様に集まって貰ったのは他でもない神の仔羊に選ばれたからですます』
何を言ってるんだ?、いきなりそんなこと言われても脳がついてこないこの状況でどうしろと?。
というか、早く冬ちゃんを助けたいんだからさっき言ってた事を教えてよ!。
私たちの心はお構いなしにその生物?は語り出した。
『はじめましてぽくの名前はミカ、こんな見た目だけど「だいてんしちょう」って言う偉い仕事なんですます。』
『今、この世界は破滅の道に進んでいるの。だからこの世界を救う為には神の仔羊が必要なのですます。』
『神の仔羊とは、、、面倒だから説明を省きですます。簡単に言うと貴方たちの中から尊い贖いを見つけですます。そして、貴方達は神の思し召しのもと天界へと誘われるのですます。』
『っと、ざっくり言うとこんな感じですます』
この生物?は一体何を言ってるのだ?、贖いってなんだよ、聞いた事ないよ私はどうなってしまうの?と動揺が隠し切れないでいる。
そんな中、1人の少年が怒号混じりの声で話し出した。
『テメェ天使だか何だか知らねーけど!!何わけわかんねーこと言ってんだよ!こっちとら家帰ったら母親が玄関先で滅多刺しにされて殺されてんだよ!』
怒りに満ち溢れた声は微かに震えていて、誰にぶつけることも出来ない恐怖であろうことが安易に想定できる。
私もかなりの恐怖で今更になって腰が抜けそうだから、気持ちは非常にわかる。
その状況に畳み掛ける様に生物?は、睨みを利かせながら話し出した。
『君、状況分かっているのかな?。今この世界が大変なんだよ、君の母親の尊い犠牲に感謝して、次の一歩に進まなければならないのだよ。』
冷酷、無慈悲、残忍、見た目は愛くるしい天使なのに中身はまるで凶悪な悪魔だ。
こんな生き物に私達は、いま命を握られているのだと気付かされた言葉だった。
生物?は淡々と話し始めた。
『君達14人にはNo.を与えますです。そして、今から7日間で世界を作り直して欲しいのですます。』
隣の女の子がいきなり声を出して生物?に話しかけた。
『世界を作り直す?そんな事出来るわけがない、なんで私達のような子供を選んだの?』
生物?は、話を続ける。
『君達には、悪魔を倒してもらいますです。ちなみに一人一人にNo.の能力を与えますです。』
No.ってなに?、この生物?は何を言っているの。どうやったらふゆちゃんを助けられるの?。
そんな思いがよぎる中、その生物?は話を続ける。
『1.2.3.4.5.6.7.8.9.11.22.33.44君達に与える数字ですよ。』
『七瀬ちゃん、君には7番をあげるよ!良かったね!素晴らしい数字だよ!』
『あっ、、、8番はもう消えちゃうんだった。因みに8番に与えた能力は、再生。』
8番とは誰のことを言っているのだろう?再生?、と思っていると目の前で怒号の少年からこの世の物とは思えない程の光が溢れ出してきた。
その瞬間、四肢が飛び散り、皮膚や臓器等がグチャグチャになって私達の方に飛び散ってきた。
恐怖で皆絶句している、隣の女の子は失禁し、右斜め前の男の子は恐怖で痙攣している。
そんな中でも、生物?は語る。
『ちなみに、君達の大切な人を殺したのはぽくではありません。アクマのしわざですますよ。』
『今この世の中は、戦争、貧困、お金を持つと退屈で、人間が壊れてきているのですます。だから古き事例にのっとり、貴方達から生贄を見つけますです。因みに贄は神になり、あなたの望む事なんでも叶えられますですよ。』
『ねっ、悪い話じゃないでしょ?』