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鎮め森の神 共通
「やっかいな法律ができたな」
いかなる星民も16になったものを必ず魔法学園に通わせなければ星ごと排除する。
つい先日そんな法律が作られ、重鎮達の頭を悩ませていた。
森には祟り神がいて、それを鎮める巫女がいる。
巫女は森に住まう妖精族の長であり絶対、未婚の女が務める決まり。
引退する者は必ず娘を産み、次の巫女とするのだった。
「こちらの都合も考えてほしいものだ」
「昔はちょろまかせたのに個人番号なんて作りやがって」
翌日の朝になると、森の民は後継ぎと同い年の少女達をしぶしぶ送り出すことにした。
「巫女候補に何かあったら法律作成者を神様に食わすからな」
どの道、なにかあればこの世界ごと心中することになるのだ。
■■
「リトール・ホンノレイです!」
自己紹介の時間、私は元気よく挨拶する。
「元気いいな!」
先生が褒めてくれた。森では呆れられるのに、嬉しいな。
エリス・セニトルは巫女候補で一番有力。
前代の娘で一族が長年巫女を務める家系の末裔である。