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愚かな娘よ 共通1
「小鳥さん、こんにちは~またね!」
草むらを見つけたので、空中であいさつを済ませ、ホウキから飛び降りた。
心地のいい風が吹き、優しく髪を撫でた。草原に寝ころび、空見上げれば雲のない青。
花から沸き立つ甘い香りは旅の疲れを癒し、眠りへ誘われた。
目を覚ますと澄みわたる空は雲が覆い隠し、あたりは薄暗くなっていた。
「こんなところでどうされました?」
うとうとしていると、馬車が通りかかって身なりの良い男性が現れ、私に問いかけた。
「あのねーお空を見ていたのー」
「そのような下々の者に話しかけてはいけませんわ!」
「だが、ヤッテンランナー」
気の強そうな女性が見下すような目で私をみると、王子様を連れて馬車に戻った。
「でね、そんなことがあったのー」
幼馴染で子爵令嬢のパトレアナに笑いながら話す。
「どこにでもそういう子はいるものね。気にすることないわ」
悲しくても、腹がたっても、笑顔でいればなんとかなるってママが言っていた。
「そういえば貴女は魔法学園に通うんでしょ?」
「ええ、明日から」