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領主の娘フィリア 共通1


「皆、転校生を紹介するぞ」

「ネシュティーファです! シャープナ―バから来ました!」


毛先を巻いた緩やかにうねる黒髪、天真爛漫そうな笑顔に男子は釘付けだ。


「彼氏いるのかなー」

「ボブったらなによデレデレしちゃってやーね!」

「よう転校生。結構可愛いじゃねえか、俺の女になれ!」


席を俺の隣にしろと言う彼を無視し、教師が席を指定する。

ネシュティーファは頷くと、一瞬でその椅子に座った。


「……!」


誰も彼女移動するところを捉えていない。隣にいる男子もだ。


「な、何者!?」

「ただの魔法だよ!」


<何もすごいことはしてない>屈託のない表情でクスクスと笑いながら言った。



「どっと疲れが……」

「爽やか王子くん、どしたよ。転校生が変なやつだったんか?」

「いえ、そちらのクラスに比べればまともですけど」

「笑顔で悪気なく言うのやめい。余計刺さる」

「その、今朝こういうことが……」


「アサシンかい?」

「シノビごっこ?」

「僕のクラスにはそういう家業の子もいるんだが」

「おいおい……マの子やら邪神教はまだしも……」

「この学園、色々と終わってるな」




 口の中にうっすら広がる鉄のような味、ザリザりとした砂を噛んだ事に不快感を感じ、身体を起こす。

外は真夜中の砂漠地帯、景色はほとんど変わりはしない。

しばらくして、馬が鳴いた。揺れていた馬車が停止する。


起きているかの確認をされるが、口を濯ぐまでなるべく会話したくないので頷く。

すると御者の中年男は目的地に着いたことを教えてくれた。


料金を払って馬車を降りる。男は私を引き留めた。


「お嬢ちゃん、なんだってあんな危険な場所に、しかも一人で行くんだね?」


犯罪が頻繁に起きていて、無いことのほうが珍しいくらい荒れた都市。

あんな所へ観光なんて、死ににいくようなものだろう。


けれど違う。私はあの街に住んでいて、遠出からの帰りだ。

そう答えれば、この男は恐怖に叫んでしまうかもしれない。


こんな夜中に大声を出されるのは困る。なんて答えようか黙っていると男は首を振る。

‘詮索するのはよくないよな’独り言のように言って馬を走らせて去った。


帰宅して砂埃にまみれたローブを脱ぎ、身支度を整える。


「……ただいま戻りました」



「………れよ! 恵みよ! 切り裂く黒曇!」

「どうしたネシュティーファ、心が入ってないぞ」

「学校で瞬間移動したら驚かれたの」

「一年生で魔法を使いこなせるのはそういないからではないか?」

「名門っていうから期待してたけど、全盛期のラウル・ドゥルグル世代とは違うみたい」





















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