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転生したら精霊!? 元令嬢は召喚されました  作者: 奏多


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49/90

魔力の扱い方

 強いゴーレムになるために、やはり魔力を上げたい。

 精霊の庭に戻って来た私は、そのことで「ふむ」と考えた。


 エリューの葉を使わせてもらえば、私は召喚できる。代わりに魔力量が減る。

 たぶん、竜なんかを呼ぶと魔力を使いすぎてしまうのではないかしら?

 そうなると、ラフィオンに呼ばれても応えられない状態になってしまうから、避けたいわ。

 一番いいのは、ゴーレムとして戦いつつも魔法が使えることだけど。

 魔力があるってことは、私にも魔法は使用可能? というか私の属性……。


 脳裏に蘇るのは、ケティルのお食事風景と、カイヴ達の抉って行く戦い方。

 でもまぁ、強いことは強いのよね。ケティルに削られるとわかった時の、火竜の慌て方からしても、それはわかるわ。


「だけど魔力を増やすと、私が酔った状態になる上に、人の姿で実体化してしまうのよ」


 ちょっと齧っただけで、なんとかできる方法……。

 考えた末に、私はいろいろと試してみることにした。


「モリーを呼んだ時にはこう、すっと力が抜けていく気がしたのよね。あれが召喚魔法なのだとしたら、魔力を土に与えたらどうなるのかしら?」


 やってみた。

 あの時の感覚を思い出して、すっと手の先から触れている地面に力を流していくイメージで。

 最初はなかなか上手くいかなかったけれど、何度かやすみながらもしつこく試した結果、するんと何かが体から抜け出た感覚の後、触れていた場所の周辺がふわっとケーキのスポンジのように膨らんで盛り上がる。


「まあ」


 これはちょっと楽しい。

 次に、もしかしてと思って、近くに咲いていた小さな青い花に触れてみた。

 自分の中の魔力はなんとなくつかめたんだけれど、それを花に移すのは難しい。でも何度か続けていると、不意に花が巨大化し、私の身長ぐらいの高さに、胴ぐらいの大きさの青い花弁をつけた花に変わった。


「……他も、他も何かしましょう!」


 面白くなって来た私は、今度は空中で魔力を放ってみることにした。

 空気が膨らむとどうなるのかと、わくわくしながら実験する。

 すっと魔力が抜けて行くと、次の瞬間――手のひらからパチっと電気が走った。


「ひゃあ!」


 痛くはなかったけれど、音と短いながらもはっきり見えた稲妻みたいな光に驚く。

 え、空気に魔力を放つと雷の魔法になるの!?


『マーヤ、また何か試してるのー?』

『もっかいやってー』


 その光に引かれたのか、ふよふよと集まって来たのは雷の精霊達だ。

 私は請われるままに、何度か電気をバチバチとさせてみせた。慣れてくると簡単ね。

 雷の精霊は星か雪の結晶みたいな形をしているのだけど、光る球の中にいるそれがキラキラと回ると本当に綺麗。

 そんな彼らは、電気の光にまとわりついては、


『はあぁぁぁぁぁあ』


 と暖かなお湯に浸かったような声を出す。面白いわ。


『心地良いの?』

『なんだかとってもいい感じ』

『もっと浴びたい。ずっとそこに居たくなるよー』


 こんなささやかな電気なのに、とても好評だ。


『先に旅立っちゃったエクルは、現世でこういうのを楽しんでるのかなー』

『空から落ちる雷なら、もっと刺激的だよねきっと。気持ち良さそう』

『でもマーヤの雷もこれはこれで……。現世で使ったら、ふらふら寄ってくる精霊がいそうだよね』


 それは、雷の精霊が寄って来てくれるということかしら?


「そういう精霊なら、頼みごとをしたら聞いてくれるかしら?」

『たぶんー?』

『ふわっとした気分になりたいくらい、飢えてたらすぐかも?』


 雷の精霊が飢える……。ずっと雨が降らないとか、そういう状況かしら?


「そもそも雷の精霊ってどこにいるのかしら」

『エリューが、たいていはお空にいるって』

『雲と一緒だって言ってた』

「空……」


 それは随分、遠いところにいるのね。それじゃ地上でバチバチとやっても、寄って来てくれないかもしれないわね。

 でも私は、この電気を別のことに使う方法を知った。


『マーヤはうっ!』


 うっかり近づいてきた他の精霊が、私が光らせていた電気に触って失神してしまったの。その子は木の精霊だったのだけど。


「大丈夫!?」


 慌てて揺すってみると、すぐに起きてくれた。


『あーびっくりしたー』


 彼はまた元気に動き始めて、今度は雷の精霊にぶつかってまた失神していた。


『……なんだろう、ちょっといい気分』


 そんなことを言い出して、ちょっと怖くなってしまった。大丈夫かしらこの精霊は。現世に生まれた後、刺激が欲しいと言って雷に当たりに行きそうで怖いわ……。

 だからつい私は忠告してしまった。


「もうそんな遊びはしちゃだめよ。私も貴方が倒れて心配したわ。それにあまり癖になると危険だと思うの」

『うーん……マーヤがそう言うなら』


 木の精霊はそう言って、私の説得を聞き入れてくれた。良かったと思ったけれど……。ううーん。今度は泉の中にバチャバチャと入って、沈んで行っている。

 エリューも笑っているばかりで放置しているみたい。

 精霊の卵の間は、平気だからと思っているのかしら? 心配だけど、精霊のことをよく分かっているエリューに任せるしかないわよね。

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