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19-②対峙

 三人が去ると、しばらくして思い出したようにユウキは立ち上がった。今の彼は、本当に空っぽなのだろうというくらいに視線が定まっていない。

「もう帰ろう」

 力なくユウキは言う。

「あんた、先に帰ってていいよ」

 言い返せなかった悔しさを眼差しに込め、三人が去った方向から目を逸らさずにアカネが言った。

「なんで」

「これから用事があるのよ」

「そうか、だからこんな時間に、ここに来たんだな」

 ユウキは一人で納得したようにうなずくが、どこか諦めの念が沁みだしていた。

「あんた、もしかしてもう諦めたの」

 イライラして彼女は問う。

「だって、しょうがないじゃないか」

「しょうがないから停学を受け入れるの? 自分に非はないのに? 一度停学になったら、まともに部活に復帰することだってできないんだからね」

  諭しても彼は力なく頷くだけだった。

「こればっかりはどうしようもない」

「バカ。あんたが諦めたらもうおわりでしょうが」

「だって」

「だってじゃない」

 こんな時にも突き放してしまう自分を、ユウキは縋るように見ている。アカネはまだ小さい頃、泣き虫だったころのユウキを思い出す。いつも私が守ってやったっけ。本当に守りたいものは何なのか。彼女はその顔を見て考えた。

  「とにかく、今日はもういいから、帰って反省文でも書いてなさいよ。昨日、起こったことを正直に書いて身の潔白を主張する。もちろん、あらぬ疑いを掛けられるような行動をとってしまったことに対する反省も忘れずにね」

   アカネは思いつく限りのアドヴァイスを彼に送るが、彼は上の空で頷くだけだった。

  「シャキッとしなさい! シャキッと!」

   そう言って彼女は幼馴染のお尻を蹴とばした。トボトボと歩く背中が見えなくなるまで、彼女は檄を飛ばし続けた。そして一人になり、ファミレスの前で自分が守るべきものについて真剣に考え始めたのだった。


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