表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/35

8-①呼び出し

 アカネが予定を立てるのに四苦八苦しているとは露知らず、金曜日の下校時、ユウキは途中で加賀に呼び止められていた。

「設楽君、日曜の約束、大丈夫だよね」

  構わず歩いていると、同級生は小さな歩幅で並びながら確認してきた。

  そうだ、その日は人生初の合コンだった。ユウキはぼんやりと加賀の顔を見てそのことを思い出した。

「ちょっと、その顔は忘れてたでしょ」

 追いすがる彼に脱力したヘラヘラ顔を向けると、同級生は苦笑いを浮かべるしかないようだった。

「約束したんだから、絶対来てよね」

「夕方でしょ? うん、ヒマだし、大丈夫」

  そう告げると一気に表情を明るくした加賀は、

「ちなみに今日、これから作戦会議しない?」

  と告げてきた。

「作戦会議?」

「そう。作戦会議」

 満面の笑みで同級生は深く頷く。

「駅前のファミレスでお茶でもしながらさ」

 そう言うと加賀は次の十字路でユウキの帰り道とは逆の方向へ足を向けた。

「会議って何するの?」

  彼は素朴な疑問を投げかける。立ち止まってファミレスで話をする自分の姿を想像するが、うまくイメージできなかった。

「なんか予定あるの」

 加賀は質問を質問で返す。予定がないことだけははっきりしているユウキは少し釈然としない気持ちのまま、その岐路に足を踏み入れようとした———その時だった。

【監督から呼び出しあり。至急連絡して】

  短い文面のメールが寺内から届いた。

「ごめん、呼び出し掛かった」

  携帯電話に視線を落したままユウキは踵を返す。

「作戦会議は?」

  背中に加賀の声が掛かるが、手を挙げて応じるだけでそのまま彼は走り出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ