表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/35

1-①通学路が一緒なだけだから

 雨上がりの初夏の空。アカネは河川敷を歩きながら、朝陽に煌く川面に目を細めていた。

「おは」

 振り向くと、寝癖頭のユウキがにこやかに近づいてきた。彼は鞄を肩に担ぎ、もう片方の手でトーストを持っている。口元から零れたパン屑が腰履きした学生服に点在している。だらしない姿を認めると、アカネは気づかない風を決め込み歩を早めた。

「おい待てよ」

「ついてこないで」

「何言ってんだよ。一緒の学校なんだから一緒にいけばいいじゃん」

 そう言ってユウキは駆け寄ってくる。が、アカネは同じ速度で小走りし、差を縮めることを許さなかった。

 二人は小学校からの幼馴染で、偶然か必然か同じ高校に進んでいた。文武両道の名門校にアカネは家から一番近いという理由で、ユウキは野球の特待で学費が安く済むという理由で進学を決めたのだった。

「朝練は?」

 三歩後ろを歩くユウキに訊くが、答えは返ってこない。

「朝練はどうしたのってきいてんの」

 苛立ちながら振り向くと、幼馴染はすごい勢いでパン屑を零していた。

「パン齧りながら通学するなんて、今どきドラマでもありえないから」

 だから思わずそう忠告したが、彼は表情を崩さず緩慢な動作で裾を手で払うだけだった。


この作品は5/31から開催されている【文学フリマ短編小説賞】参加作品になります。

拙作ですが、応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ