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8 両家の父親には苦労が絶えません

“フラン家とシュケル家の婚約は解消されるのではないか?”

“最近、フラン家には次々に美青年たちが訪れているらしい。ご令嬢の新たな婚約者候補では?”

“シュケル家の嫡男がご令嬢に暴言を吐いたらしいからな。娘想いのフラン家当主は激怒しているんだろう”


自由登校期間のため普段よりも学校にいる生徒は少ないのだが、そんな中でも噂というのは広がるものだ。クローネとレアルの痴話げんかは、尾ひれをつけまくって噂されていた。


実際、両家の当主たちはまたいつものケンカかと呆れていただけで、婚約を解消させるつもりなどなかった。




*    *     *




「いつもいつも、愚息が大変申し訳ない……」

「いや、クローネもすぐに感情を爆発させるところがあるからな。お互い様だ」


フラン家の応接室で、両家の当主たちが疲れた様子で顔を合わせていた。

クローネとフランがケンカをするたびに謝罪をし合ってきたせいで、二人の父親はすっかり仲良しになっていた。


「年頃のご令嬢にゴリラなどと……。アレの情操教育に失敗したのは私の責任だ……」


レアルの父、テンゲが嘆くとクローネの父であるポンドがゆっくりと首を振った。


「それは違うぞ。最初にクローネをゴリラ並みの腕力と言ったのは我が弟のドラクマだ。ドラクマはともかく、レアルくんは誉め言葉のつもりだったのだろう」

「たとえ褒めたつもりでも、女性に対して失礼極まりない。アレはどうも強い生き物が好きなようだが、可憐なクローネちゃんに対して褒めるポイントが間違っている!」

「そうは言うが、クローネとて婚約した当初は強さを褒められて嬉しそうにしていたぞ? 今回に限っては……まあ、少し言葉のチョイスに失敗したようだが……」

「せめてライオンとか虎とか! 強い生き物はいくらでもいるのに!」


およよと嘆くテンゲに、苦笑するポンド。

仲良し父親コンビは一息つくと、すっかり冷めてしまった紅茶で喉を潤した。


「……ところで不穏な噂を聞いたのだがな。最近、こちらの家に次々と美青年が訪ねているというが……まさか、婚約を解消するつもりではあるまいな……?」

「落ち着けテンゲ。そんな血走った目で見ないでくれ。怖い」

「これが落ち着いていられようか! クローネちゃんに見限られたら、レアルなんて一生独身だ! 土下座でも何でもさせるから、どうか婚約解消だけはやめてくれ! 頼む!!」

「だから落ち着けって。誤解だ。うちに訪ねてくる美青年などいない」

「噂はただのデマなのか?」

「……いや。デマというわけではない」


は~と長い溜息をつくと、ポンドはテンゲに噂の真相を語り始めた。




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