第六話 憂鬱な高校生活と過去
─────管理人は、一冊の本を眺めた。雫の人生が書いてある、雫の管理書だ。
北村 雫。君はなんて不幸なんだ。
小学六年生になり、雫は、思春期に入っため、吹き出物が顔にブツブツとできた。昔から顔立ちにはあまり自信はなかったため、吹き出物が一面にできた醜い顔を鏡越しでみた雫は、今後一切鏡を見ないと決めるほど、自分の顔が大嫌いになったのであった。
高校生になった雫は、この顔を見られないように、マスクや前髪で顔を覆い隠すようになった。
こんな顔を見られたら、きっとみんなが僕のことを気持ち悪がるにちがいない…。そんなことを思っていたため、雫は、人と関わることが怖くなってしまった。二年生の頃。クラス替えがあった。
運悪く雫は、目立つグループと同じクラスになってしまった。これが、事の始まりだった。その目立つグループはどんなのかと言うと、雫とは正反対な奴が集まったグループだ。みんな顔立ちが良くて、世間一般で言う“イケメン”なのだ。それに加えて運動神経は抜群。さらには、社長や政治家の息子の奴もいる。こんな優良物件なものだから、女子たちは入学初日からそのグループに群がっていた。
だが、そんなイケメングループの裏の噂を聞いたことがある。
男子中学生から、金を巻き上げた。とか、中年のおばさんに、高いブランド品買わせた…とか。
一番酷かったのは、イケメングループを好いていた女子に貢がせて、そのうえ、機嫌が悪いときはその女子に暴力を振るったりして、その女子を不登校にさせたとかいう噂…。
雫は、常にイケメングループの視界に映らないように過ごした。絡まれたら僕まで目立って、この醜い顔が晒されてしまうかもしれないし、何よりも、いじめられる気がする。
だが、ある日雫はやってしまった。雫はいつもイケメングループと合わないように、通学路は避けて犬の散歩をしているのだが、なんとこの日は新しくゲームセンターができたのだ。イケメングループは通学路を完全に無視してゲームセンターに向かっている。それを知らない雫は、イケメングループとバッタリ合ってしまった。
あっヤバい……雫は必死に目をそらした。
だが、イケメングループの一人は、雫を指指しながら、他のメンバーに喋った。
池崎『あいつ俺らと同じクラスの奴じゃね?』
最悪だ。
雫は、知らないふりをしてイケメングループの横を通り過ぎようとしたその時、メンバーの一人である、池崎が足を大きく振り上げた。
池崎『オラァ!!』
犬『キャウン』
雫の愛犬が蹴られた。頭を壁にぶつけた愛犬は、かなり弱った。
池崎はおかまいなしに図太い声で言った。
『無視すんなよ。挨拶は?』
ポケットに手を突っ込んで、睨んでいる。
雫は、“悲しい”とか、“怖い”とかよりも、強い怒りが頭を支配していて、もう誰にも制御できないほどだった。
『うわぁぁ!!!』
雫は、声を挙げながら勢い良く池崎に体当たりをした。
池崎『グハッ!!』
池崎がフラフラと後ろに下がった。
霧島『てめぇ。俺らのことなめてんだろ。』
桜間『お前、終わったな。』
竹村『わ~お命知らずー!』
雫は、急いで愛犬を抱えた。雫の視界はぼやけていて、まるで怖くて泣いているみたいだった。
ぽつぽつと水玉がこぼれた。あぁ。僕は本当に泣いているんだ。
これから蹴られる背中をがくがくと震えている。
『てめぇ!!!さっきはよくも!!!』
後ろから池崎の速い足音が聞こえる、せめてでも、愛犬を守らなければ。
そんな思いで愛犬を抱えてうずくまった。
『ドンっ』
池崎の大きな足の裏が、雫の背中に当たった。
『うわぁぁぁぁぁぁぁ』
雫は、泣き叫びながらも、15分ほど蹴られ続けた。それでも愛犬を離さない雫を見て、イケメングループたちは呆れ、ゲームセンターへ向かっていった。
こうして、北村 雫の“憂鬱な高校生活”が始まった。
このお話が初投稿でして、よく分からないことが多いです。そのため、誤字や脱字がありましたら、教えていただけると幸いです。そして、レビューが一度も来たことがなく、作者本人寂しいです。どうか、私の最初の評価者になっていただける方がいましたら、レビューお願い致します。