表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数字の見えるフットボーラー  〜世界一の選手を目指して〜  作者: シャーロック
第1章 U20ワールド杯カタール大会(95年)編
4/10

③U20ワールド杯 inカタール

@カタール ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム

レオン・龍馬・エドワーズ 17歳 (U20代表・背番号[20])


 試合は現在、後半30分。俺の目の前でポートさんが強烈なミドルシュートを決め、本日2得点目を献上した。


 チームスコアは5-0で相手(ガーナ)に攻める余地を与えない。


『圧倒的じゃないか!! 我がイングランドはッ!! 』


『急になんだぁッ!? レオン! ベンチで急に大声上げるなッ! 』


 ベンチ試合を観ている俺が叫んだことに隣に座るゴメスさんが驚いて非難の目で俺を見た。


『すみません……今日の試合、圧倒的にウチのチームが強すぎて、つい……』


『まぁ、叫びたくなるほど強いってのは確かだ。ハッハッハ。STクリステンセンは前半だけでハットトリック。OMFポートは今ので2G(ゴール)2A(アシスト)。どっかの誰かに触発されて、あの年中澄まし顔のヤツ(ウェイン・ポート)もやる気だしてるんじゃねぇのかぁ〜? 』


『たしかにクリステンセンさんとポートさんは同じ歳だしお互い意識しちゃいますよねぇ』


『いやいや……(ヤツらが意識してるのお前だよ…)』


『今日はこのまま俺たち出番なさそうですけど……今日休みの分、次の試合では俺も今日のポートさん達みたいな活躍目指しますッ!! 』


『おうッ!! その心意気や良し!! バックは俺がしっかり守ってやるから安心して攻めていいぞ』


 胸を張って自信げにそういうゴメスさんの背後に鬼の形相の監督が立っていた。


『そうかい、そうかい。お調子者のゴメス君? それなら次の試合前のミーティングはしっかり参加して私の戦術的なお話もキッチリ聴いてくれるってことかなぁ? 』


『か、監督ぅ……き、今日のミーティングも、ししししっかり聴いてましたよぉ……』


 冷や汗ダラダラのゴメスさんが監督の方へ振り向き答えた。


『ふむふむ……今日の出場がないからと、上の空だったわけじゃあないんだねぇ? 』


『え、ええ。も、もちろんでさぁ。常在戦場ぅ!! いつでも俺は準備万端な漢ですからッ!! 』


『そうかい。では今日の試合はこのまま出場はないからピッチ脇で「しっかり」トレーニングしなさい。試合終了まで体力を残しておく必要はありませんよ? 』


『りょ…了解でさぁ』


『レオン君も残り時間が少ないから軽く身体だけは動かしておきなさい』


『わかりました。監督』


 とりあえずゴメスさんのトレーニングに少し付き合って、あとは柔軟を入念にしながらポートさんの試合での動きを確認しておこうかな。


——————

@ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム コートサイド


『うぃーす。2人ともおつかれぇい』


『お疲れ様です。ハモンドさん』


 ゴメスさんとトレーニングしようと移動すると先に軽いトレーニングを済ませた様子の背番号[12]スタメンLWのフィル・ハモンド(アーセナル・19歳・能力「79」)さんが居た。


『これからトレーニング?もう試合結果も決まっちゃったようなもんだしねぇ』


『ゴメスさんが今朝のミーティングをしっかり聴いてなかったのを監督にバレてたみたいで…(小声)』


 隣でさっそくトレーニングを始めたゴメスさんに聞こえないようにハモンドさんに話した。


『あーなるほどね…おおかた今日は出番がないだろうから大丈夫だろうって上の空だったんでしょ。ゴメスは表情に出てわかりやすいからねぇ。ハハハッ』


『昨日は僕とゴメスさん達で視察役だったんですよ。それで今日は出番がないと、気が緩んじゃってハハハ……』


『ま、今日はポートが張り切ってるから、レオン君は試合に出るより彼のプレーを参考にした方が有意義かもね。僕はそろそろ出番かな?ハットトリックのクリステンセンの代わりに最後10分くらい試合で走ってくるよ』


『頑張ってください! 』


『はーいよッと』


 軽い感じで返事をしたハモンドさんはそのまま選手交代のプラカードを掲げた副審の方へ向かって行った。


 しばらくするとハモンドさんと入れ替わりでクリステンセンさんがフィールドからベンチへ帰ってきた。


 本日ハットトリック達成のクリステンセンさんへカタールの観客達から惜しみない拍手が送られている。


 ベンチで水分補給したクリステンセンさんがクールダウンのためこちらにやってきた。


『クリステンセンさん、お疲れ様でした!3G(ゴール)と大活躍ですね。』


『おぉーー!しっかり俺のプレー観ててくれた?レオンちゃんに褒められると嬉しいなあ。』


 長身イケメンのクリステンセンさんが濡れた髪をかき上げながら俺に微笑んでいる。きっとこの近距離に女性ファンがいたらそのイケメン具合に心臓音が鳴り止まなかっただろう…


『今日の試合は皆さん素晴らしいですけど、ポートさんとクリステンセンさんは別格ですね。さすがウチのエース達と言ったところです』


『まったく〜、おだてても何も出ないよぉ〜?まぁレオンちゃんの見本になれたならよかったよ』


 そのままクールダウンとストレッチをしながらクリステンセンさんと話していたが、試合はその後、ハモンドさん緩急つけた得意のドリブルで突破しダメ押しのイングランドの6点目を決め試合終了。


 ベスト8をかけたトーナメント戦の初戦・対ガーナを6-0と難なく降したのだった。





本日まとめて投稿されますのでよろしければ最後までどうぞ。

よろしければブックマーク・いいね・評価もよろしくお願い致します。


『数字の見えるフットボーラー(監督編)』共々、ご覧いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ