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数字の見えるフットボーラー  〜世界一の選手を目指して〜  作者: シャーロック
第1章 U20ワールド杯カタール大会(95年)編
3/10

②U20ワールド杯 inカタール

@カタール ジャシム・ビン・ハマド・スタジアム

レオン・龍馬・エドワーズ 17歳 (U20代表・背番号[20])


 昨日のドイツ:スペイン戦でグループリーグの戦いは全て終了した! 今日からはベスト8をかけて、グループリーグを突破した16チームが4日間で試合を行う。


 午前中の試合で、日本:メキシコが行われ、2-0で日本はベスト8へ進出したようだ。母親が日本人の俺は国籍選択が可能なため、ぜひ日本代表へ!! と誘われたがイングランド国籍を昨年選択したため日の丸を背負うことはなかった。


 とはいえ、自分のルーツであり、不思議な記憶を持つ俺としては日本が気にならないわけがない。昨年のオフシーズンには日本の別荘に遊びに行ったし、今年もこの大会が終わればそのまま日本へ飛んで、従弟と遊んで束の間の休息と洒落込むつもりだ。


 その間に来シーズンの自分の所属チームがどうなるかも確定するだろう……


 もうすぐ午後の試合が始まるということで、ベンチスタートの俺は先発選手達の入場をコート側で待っていると


『レオン君、昨日はドイツスペインの視察ありがとう。マルス君が君がよく手伝ってくれたと褒めていたよ』


 マカリスター監督が柔和な笑顔で話しかけてくれた。


『たいしたことしてないですよ監督。ハハハッ。それに今日はベンチ入りとはいえ出場はないだろうってゴメスさんも言ってましたし……』


『ゴメスのやつ…それで朝からミーティングに身が入っとらんのか……』


 まずい…いらんことを言ってしまった。こりゃゴメスさんに後で俺が怒られるなぁ。


『ですが昨日はゴメスさんも視察のカメラ手伝ってましたし!ははははッ……』


 一応フォローはしておこう……しっかり手伝ってはいたからね。


『……ではそう言うことにしておこう。どのみち今日はヤツは使わん。レオン君も大事がなければ今日はベンチ見学になるだろう。ストレッチや軽い運動だけはしておいてくれ』


『わかりました!!先輩達のプレーを観ておきます』


『ウェイン・ポートは良いお手本だ。シャドーストライカーとしても、司令塔としても優秀。よく観ておきなさい。さ! そろそろ入場だ! 整列して迎えようッ! 』


 ポートさんはこの年代のエースの1人だからなぁ。フル代表に呼ばれたとして、同じポジションを競う選手になるだろう。キッチリ観察していいとこは真似していかないとね!


——————

ウェイン・ポート 視点(中央OMF U20代表・背番号[10])


 いよいよ負けたら終わりのトーナメントが始まる。今日のフォーメーションは4-2-3-1だ。


 U20イングランド代表のサッカースタイルは、FWのクリステンセンがワントップでポストプレーで確実に点を取る。


 俺はシャドーの役割で隙があればゴールを狙いつつ、サイドの選手にパスを散りばめる方針だ。


 今日はスタメン組がクリステンセン、俺、CBウルクなど各ポジションに1人程度。ターンオーバーや出場機会の創出のため控えメンバーが中心となっている。


 監督や客席にいるであろうスカウトマン達にアピールできると、みんなここぞとばかりにやる気に満ち溢れた顔をしているな。


 対する俺も闘志をうちに燃え上がらせている。その原因は、若年ながらこの代表に追加招集されたレオン・龍馬・エドワーズだ。


 昨年までのユーロ予選での実績から俺がトップ下のスタメンとして不動の位置にいるが、彼はその立場を脅かすような実力者だと思う。


 当の本人は自己評価が低いようでいつも周りを窺いながらプレーをしているようだが、あの才能と努力を厭わない姿勢は17歳の頃の俺では無理だったろう。


 加えてフレンドリーな性格はチームの雰囲気を良くするし、周りのプレーヤーが自分よりすごいと思っているのか、とにかくサッカーやトレーニング方法についていろんなやつに質問して吸収しようとするレオンに年下ながら、俺たち全員が彼に一目置いている。


 昨シーズンは所属のノッティンガムフォレストが最下位に沈んでしまったが、今シーズンは移籍や期限付き移籍(レンタル)の問い合わせがたくさん来るだろうな。果たして彼はどういう選択をするのか……


 2部リーグでプレーさせるには惜しい選手だと思うが…


 入場セレモニーが終わり、両チーム自陣に移動していく。


 円陣を組んだ俺たちにキャプテンマークをつけるCBウルクが吠えた。


『俺たちはグループリーグ首位でここまできたんだッ! このまま負けなしで優勝トロフィーを持ち帰ろうじゃねぇかッ!! 』


『『オウッ!!! 』』


『今日はスタメン組が少ねぇが……お前らだってやれるって証明してやろうじゃねぇかッ!! 』


『『オウッ!!!! 』』


『よし。気張っていくぞッ!!! 』


 その一言で全員が弾けるようにポジションへ走って向かった。


 さてさて、俺も気合い入れてプレーしなきゃな。


『せっかくベンチで観てくれているんだ。今日は先輩としての意地、背番号[10]としての意地をレオン君に魅せてあげないとね』




本日まとめて投稿されますのでよろしければ最後までどうぞ。

よろしければブックマーク・いいね・評価もよろしくお願い致します。


『数字の見えるフットボーラー(監督編)』共々、ご覧いただければ幸いです。

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