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数字の見えるフットボーラー  〜世界一の選手を目指して〜  作者: シャーロック
第1章 U20ワールド杯カタール大会(95年)編
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数字の見えるフットボーラー

『数字の見えるフットボーラー(監督編)』の主人公レオンの現役サッカー選手時代のお話です。このシリーズは章ごとの投稿になります。

——————

@ナショナルトレーニングセンター 練習用コート (1995年5月中頃)

レオン・龍馬・エドワーズ 17歳 (94-95 ノッティンガムフォレスト所属・背番号[20])


 いつからだろう…自分の中に遙か地球の裏側、日本で生活した記憶があることに気がついたのは。


 物心ついた頃にはなぜか自分が日本で生活した記憶があった。正確には、1978年から23年頃までの別の世界線、いわゆるパラレルワールドの日本で生活した人物の記憶があった。


 当時の俺は幼い心とパラレルワールドだが未来を知る冷静な頭脳を持った子どもだった。


 そして『人のサッカーの才能らしきものを見抜く力』を兼ね備えていた。


 これを『数字の能力』と呼んでいるが……具体的には、サッカー選手の頭上にサッカーの能力又はポテンシャルだと[思われる]『数字』が見える力も持っていた。


 これがきっかけで自分はノッティンガムフォレストのジュニア教室に通い、そのままユースチームに入団、昨年からはトップチームでプレーしている。


『ハァッハァッ……どうせなら自分の才能もみれる力が欲しかったぜ……』


 どんなにトレーニングウェアで拭ってもキリのない、自分の足元に滴る汗を眺めながら呟いた。


 俺はいま、イングランドナショナルトレーニングセンターで行われているイングランドU-20の代表合宿に参加している。


 昨年開催されたUEFA U-19ヨーロッパ選手権を勝ち進んだイングランドは今年開催のUEFA U-20ワールド杯に参加する。


 昨年は招集されなかったが、今回年齢的には17歳と若いが追加招集された形だ。


 イングランド代表レベルに加えて年齢が自分よりも上の選手がほとんどのため、合宿初日から俺はヘトヘトになりながら練習についていっていた。


 自分の所属するノッティンガムのスタメン選手達より高いその「数字」を掲げた選手達に囲まれ、紅白戦等ではコテンパンにされることもあり、俺の心身の消耗は限界を迎えていた。


『んぁーー!!! 周りの「数字」が高すぎるッ!!! 練習が辛い!!! 』


『どうしたレオン! 最年少とはいえメニューは変えられないぞ? 』


 俺の隣で涼しい顔でトレーニングするのはマンチェスターUの背番号[9]、20歳でストライカーの頭角を現しつつあるエンリク・クリステンセン。『数字』は『83』で、このU-20チームのエースだ。


 イングランド代表だけあってアンダー世代でも周りの『数字』が高い!! 


 自分の『数字』が見えない俺はがむしゃらについて行くしか力量がわからないため、心が折れないようにするので精一杯だった。


 ちなみに昨シーズン、プレミアでプレーした感覚的には自分の『数字』は70代後半なのではないかと思っている。


『あと2ヶ月で大会本戦だからな。しっかりトレーニング積んでレオンには中盤を担ってもらわなきゃならない』


『ハァハァ……わかってます……選ばれたからにはやってやりますよ……』


『素晴らしい心意気だ! さすが昨年プロデビューながらプレミア【最下位のフォレスト】で8G(ゴール)13A(アシスト)を記録しただけあるな。じゃ、次のセットいこうか♪ 』


『あぁくそッーー!!! 【最下位の】ってとこを強調しないでください!! 凹んでるんですからッ!!


 ……次セットいきまぁーすッ!!! 』


 フットボールはチームスポーツだ。1人の選手だけでチームを勝たせることはできない。


 ジュニア教室・ユース時代を過ごしプロデビューをさせてくれた地元ノッティンガムフォレストで俺がプレーしたシーズンが、結果的にプレミア陥落という終わりだった事実が俺はとてつもなくショックだった。


 そんなチームは未来ある俺をチームに囲って2部リーグに向かうのではなく、他チームで成長機会を得られるように、このオフシーズン動いてくれていると親父のジャックから聞いた。

 

 その恩に報いるため、まずはこのU-20代表チームで活躍しなければならないんだ。


——————

ポール・マカリスター (イングランドU-20代表監督/リバプール・ユース監督)


『追加招集のレオン君は若いし、技術的にも年齢的にも馴染めるか不安だったが、それは私の杞憂のようでした。マカリスター監督』


『私の言った通りでしょう? 彼はよく周りの選手を見ている……


 いや見えていると言った方がいいか。レジェンドと言われる選手達がよく持っている鷹の目のようなものがあると私は思ってますよ。


 その目を持ってコート内外で選手達と上手く交流をしている。昨シーズンのフォレストでのプレーはそんな印象ではなかったですか? ポーターコーチ』


 U-20代表ディフェンスコーチを担当するチェルシーユース監督のスリム・ポーターが隣で苦笑しながら答えてくれる。


『昨シーズンのチェルシー:フォレスト戦はフォレストに負けたというより彼に負けたようなもんです。アウェイ戦とはいえ最下位チームに3得点もやられて全てレオンくんが絡んだ得点でしたから。彼は中盤の起点や、トップ下の司令塔をやらせたらピカイチですね』


『私も同意見だね。このチームでは背番号『10』OMFウェイン・ポートがいるから、レオン君にはCM先発か2番手OCMで起用かな』


 昨シーズンのノッティンガムフォレストはシーズン後半が惜しかったな。チーム事情でレオン君が前線に張れなくなってから、調子が上がらなくなったようだった。


 攻守に渡る献身性、ボックストゥボックスの強さは実に心強い。


 リバプールトップチーム監督のハイツマンに「来シーズン、彼はウチのチームに必要だ」と私が推薦するくらいには……


——————

レオン・龍馬・エドワーズ 17歳(U-20代表、背番号[20])


 約2週間の代表合宿も終盤、最後の紅白戦の日となった。すでに代表での背番号は通知され、俺は見事フォレストでの背番号[20]を代表でも頂いた。


 一応、同じく中盤を務める背番号[10]のウェイン・ポートさん(チェルシー・20歳・能力「81」)の次くらいの出場順位らしい。


 昨シーズンのスタッツは俺の方がいいが、それは弱小チームで常にフル出場の俺と選手層の厚い強豪チームで出場争いをしている彼らとの出場機会の差によるものだ。


『弱いチームにいたからこそ、この場に呼ばれるきっかけになったとも言えるがな……』


『おいレオッ、なにボケっとしてるんだ!! ここで魅せなきゃ本戦で使われねぇぞ! 』


『うっすッ!!! 』


 おっと、いけねぇいけねぇ。試合中に自嘲してる暇なんてなかった。今日は同じくゼッケン赤の司令塔OMFポートさんにドヤされちゃったぜ。


 U-20代表のフォーメーションは、ボランチを1人置いた4-3-3かボランチを2人にした4-2-3-1を使っている。


 今日のスタメン組想定のゼッケン赤チームは4-2-3-1のフォーメーションだ。俺は左OMFを担っている。


 守備時は下がってサイドのケアを行い、攻撃時にはサイドラインを走ってクロスを上げるか、右の利き足を活かして切り込んでシュートを狙って行く、ボックストゥボックスが得意な俺には向いているかもだが、なかなか忙しいポジションだ。


 攻撃の組み立ては中央の司令塔ポートさんが担ってくれるし、ディフェンスラインは背番号[2]巨漢のCBフューリー・ゴメスさん(リバプール・20歳・能力「80」)が統率しているので安心だ。控えにもゴロゴロ優秀な選手が待っている。


 くぅ〜〜フォレストとの選手層の厚さが違いすぎるぜ。


 昨シーズンのフォレストではシーズン後半、ディフェンス陣の怪我が相次いでディフェンスラインが崩れる場面が続出。


 攻撃の起点だった俺はラインを下げざるを得ず、チームの調子も下がってしまい最終的には最下位で終える結果になった。


 代表では守備はお任せで攻めに徹するとしますかね…


『レオッ! 切り込んでやれッ!! 』


 ポートさんからの攻撃指示と共に絶妙なスルーパスが俺に届いた。俺はボールの勢いを殺さなように左足のアウトサイドを使った細かいステップでバイタルエリアからペナルティエリアへ進む。


 立ちはだかる背番号[3]CBウルクさん(マンチェスター・U、20歳、能力「78」)を引きつけてからの、左足エラシコで作ったスペースで俺は右脚を振り抜いた。


『ナイス切り込みレオンッ!!! バンッバンッ(背中を叩く音)』


『い……痛いっすッ…ポートさん……』


 しっかり役割を果たした俺はポートさんをはじめチームメンバーの手荒いゴールセレブレーションを受けたのだった。





本日まとめて投稿されますのでよろしければ最後までどうぞ。

よろしければブックマーク・いいね・評価もよろしくお願い致します。


『数字の見えるフットボーラー(監督編)』共々、ご覧いただければ幸いです。

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