ダイパの209番道路は神曲。
「じゃあここは物置だったのか。どうりで物が多いというわけか」
二宮が辺りを見渡しながら言う。
たしかに部屋の隅には大量の段ボールが山積みされている。
「これでも色々と大変だったんだよ? 先生と二人で掃除してやっとくつろげる程度には整頓できたって感じかな。二宮君がこの部活に入ってくれるなら男手もあるから定期的に掃除できそう!」
「ああそうか、お前この部活に入るって決めたのか」
「もちろんだ! お兄ちゃんと呼ばれては仕方がないだろう?」
「そ、それは忘れてよ!?」
更科が慌てて叫ぶ。
「ああ、あれは最高の瞬間だった……。お兄ちゃんと呼ばれてオレの胸に妹が顔をうずめる日が来るなんて! か弱くもしっかりとオレを抱きしめていたあの手の感触が今もオレの脳内で──」
「もう止めてっ!」
「二宮、その辺にしとけ! とっくに更科のライフはもうゼロだ!」
オーバーキルを受けた更科の顔はもう真っ赤だ。
「つーか更科、気になってたんだが、なんでお兄ちゃんを呼んだんだ? もしかしてブラコンってやつか?」
「そんなことを聞くな山市! 失礼だろう!?」
二宮に睨まれる。
そんなに怒ることか……?
まあ確かに……無粋な質問だったかもしれないな……。
「す、すまん……今日会ったばかりのやつが踏み込んでいい所じゃ──」
「ブラコンじゃない妹なんているわけないだろう!?」
「──まずはその幻想をぶち殺す!」
俺の右手が二宮の腹部に炸裂した。
「ぐはっ! せ、せめて、理想送りの方で──(バタッ)」
「お前を新天地にはいかせねえよ……」
っていうか理想送りはアニメ化されてないから知名度が……(失礼)
「えと、いつも、こんな感じ、なの?」
「ん? 別にいつも通りだが?」
「そ、そか、な、仲良しなんだね……」
純粋無垢な更科にはまだ見せるのは早い光景だったかもしれない。
今後は気を付けないとな。
「とりあえずこのバカは放っておいて……え、もしかしてこいつをほんとにお兄ちゃんだと思っているとかそんなこと言い出さない、よな?」
「あはは、それはないよー」
よかった……。
俺の周りには、兄と妹という対象に狂った愛情を持つ二人がいるせいで変に勘ぐってしまう。
更科だけは、この子だけは、なんとかまっすぐに育ってほしい。
「ただ私、すぐに泣いちゃうっていうか泣き癖みたいなものがあって、その時に何かを抱きしめたくなるんだよね。温もりを求めちゃうっていうか。ちっちゃい頃はお兄ちゃんにあやしてもらっていたから、それでついお兄ちゃんって呼んじゃうのかも」
子供の頃の刷り込みってやつか。なかなか変わってるな。
「それにあくまで子供の頃からの直らない癖みたいなものだからブラコンとかじゃないよ? お兄ちゃん大好き妹なんてアニメとか小説の世界だもんね」
「そんなことはない!! 実在するんだ!!」
あ、お前復活してたのか。
よし、同じ部活で一緒にやっていくなら、更科にこいつとの接し方を教えてやる必要があるな。
俺は更科に耳打ちして──
「むしろ、私のお兄ちゃんは私にベッタリなんだよね。私が小学生くらいまでは別に気にならなかったんだけど、もうさすがにちょっとキツイっていうか」
「だ、そうだが?」
「やめろぉおお!! そんな残酷な現実を突きつけるなぁああ!!」
悲惨な叫び声が部屋中に響く。
「お兄ちゃんは多分、私がお兄ちゃんのことが大好きだと勘違いしてるんだよね。ほんと、イタイっていうか」
「だってよ」
「ちがぁああう! 妹はお兄ちゃんのことが好きなあまり素直になれなくて──」
「そういうのがほんとキモイんだよね」
きゅうしょに あたった!
こうかは ばつぐんだ!
「更科、その辺にしとけ! とっくに奴のライフは0だ!」
「ちがう……嘘だぁ……いるんだ……絶対いるんだよ……」
二宮はめそめそと泣き崩れている。何かこいつが泣くのも違和感なくなってきたんだが。
「と、このように二宮の妹ハラスメントがひどくなったら、こうやってリアルを見せつけてあげれば黙るから」
「こ、効果は抜群だね……」
「……なんだおい! 脅かすなよ! 今のはお前の指示なのかよ! フッ、道理で現実味がないと──」
「でも、怖いくらい私の心境と同じなんだよね」
「嘘だぁぁああああ!!」
にのみやは たおれた!
にのみやは めのまえが まっくらに なった!
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