97.~近くの街2
さて。まずは気軽な雑貨店などを見て回ることになる。
雑貨とはいえ、アクセサリーから食器などが手頃な値段で販売されている。物品流通の値段基準が学べるだろう。
「なぁ、見ろよこれ」
「仮面か?」
「あぁ。なんでこんなもんが売ってんだろうな」
「それは、街で開かれたお祭りの名残。参加できなかった人も雰囲気だけでもってことで売られてる」
ランスが他の物に目がいっている間に後ろでは、ジャルとゼイラルも物珍しそうに色々と見ているのを、レオが説明しているようだった。
私もランスに聞かれれば説明をしている。
店内だからな。あまり危険はないと思っているのだろう。だがな。身の危険は無くてもな……
「お坊っちゃま。何かお探しですか?」
「あ、その」
「お土産で1番人気な物などいかがでしょうか?シンプルなデザインがお土産として人気なのですよ。他にも――」
ベテラン店員のトークに捕まってしまうのだぞ?
まぁ、それは私がやんわりと止めておいたがな。彼はなかなかに買わせ上手だからな。私もこの店に来るとよく引っかかる。
「領主様はご子息にお土産、よろしいので?」
「今日はそのご子息から買ってくるなと言われてな」
「それはそれは。では、次までにさらに新作を仕入れておきますね」
「ふむ。買うかどうかは品次第だぞ?」
「ご安心を。きっと目の保養になるものを入荷しておきます」
「楽しみにしておこう」
その後しばらく雑貨店にいた後。次の目的地である露店商に来た。
ここは観光客などに向けての手軽な軽食と、地元民に対しての食材などが売られている。
ランス達客人には街の賑わいが1番分かる場所だろう。混んでいるというほど人はいないが、それなりにはいる。
「殿下、こっちの味もうまいぜ」
「ん。本当だ」
「少し苦いが美味しい」
そして客人達は、食べさせあったり1人で楽しんだりと、まんまと観光客向けの軽食にありつくことになっている。資金はこちら持ちではあるが、後々返してくれればよいと言ってある。
…これで後に関わる口実が出来ただろう。
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