95.散策へ
ホットミルクを飲んでいるランスに、私は彼の目的でもある事を提案することにした。
そろそろ旅の疲れも取れただろう。…筋肉痛もな。
「領地案内ですか?」
突然の提案に驚いてはいたが、納得していくような顔になっていくランス。
「あぁ。だが近場になってしまうがな」
だから昨日、視察と銘打って治安調査、散策ルートの制作を急ぎ作ったのだ。
ちなみに寝る前まで作っていたものは、ランスの散策には関係ない。
「いえ、こちらの願いを叶えてくれるだけで十分です」
「そうか。では朝食後に行こう」
「はい」
「ゼイラルとジャルにも伝えねばな」
まぁ、どうせダイニングですることになるだろうから、いい忘れになることはないだろう。
そして朝食後。
身支度をし、馬車に乗り込む私達の中にライラの姿はない。今回は大人数で行くのはやめた方がいいから、と自ら辞退した。
ランスは気にしないとは言ったが、街の者からしたら私が珍しい者達いるのは状況的に警戒をする。
その警戒心が、時として人の行動に暴走を起こすかもしれないと、自分の警護まで気を回すことになるのは嫌だとして、辞退したのだ。
まぁ、街の者達の中に私に突っかかってくるものはほぼいないから、そんな心配はないのだが万が一は考えておいた方がいいだろう。
それにゼイラルやジャルが、咄嗟の時に魔法を使うやもしれない。
制御の行き届いていない自制心は冷静さをかき、咄嗟の時に最大火力で応戦し周りに何かしらの不安を……というのは、私の単なる予測なだけだが。
それに2人は、主を守るための冷静さを欠くことはないと、見て感じ取れている。
「それじゃあな」
ゼイラル、ジャル、ランスの順で1つの馬車に乗り込み、最後私が乗り込む前に、ライラが見送りに出てきてくれていた。
「うん。いってらっしゃい。とうさん」
「あぁ」
「お土産は要らないからね?」
「…あぁ分かった」
買ってくるつもりだったのだか、見破られ少しだけ落ち込みつつも私も馬車に乗り込んだ。
ジャルに『断られて残念だったな』とにやつきながら言われたから、脛を軽く蹴っておいた。
昨日買ったばかりだったから、断られただけだ。
こうして我々は、レオが引く馬車で最寄りの街まで向かった。
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明日は午後18時に投稿します。
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