91.小型大型
――カサカサ。
「あ、あの動物もですか?」
「あのリスか?動物は皆……そうだな」
テクテクと近づいてきたリスが私の足から肩に乗ってきた。
ふっ、自分の事を言われていると分かったのか?
「犬と猫はいないけどね…いたら可愛いのに」
レオは肩に乗ったリスを撫でながらそういった。
「犬や猫は王都周辺から離れないだろう」
犬や猫といった科目の小型動物は、何故か王都の土地から出たりすることはない。
ただ虎や狼などの大型は伝達係として離れることはある。
「…この国にも少しは魔法の名残があるのでは?」
「さあな。それを知っているのはおそらく王族だけだろう」
1度陛下に聞いてみたが、意味ありげに微笑みながら『分からないなぁ』と言われた。
意味はあるが、言えることではないということだ。それなら考えるだけ無駄だ。
「それよりロイ様。これからどうするの?独りになりたいならゼイラルと一緒に帰るけど?」
「そうしてくれ。ゼイラルもそれでいいだろう?」
「……はい」
「じゃ。屋敷で待ってるから」
「あぁ」
後ろ髪引かれながらゼイラルはレオに連れられ、屋敷へと戻っていった。
私はそれを見送ると、投げ捨ててしまった花を手に取った。
「しなびていないかな…まぁ、いいか」
せっかく摘み取った花なのだから、何の役目も果たさずに捨てるのは花に悪いしな。
リスは私が墓地に向かうと分かると、途中で体から降りていき、ようやく私は墓地についた。
そこで私は両親らの石碑の前で、日々のことを語った。
返事はない。だが寂しさは晴れていく。
明日からまた頑張るとしよう。
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