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89.夜の花畑


86話のダブリを直しました。


屋敷から墓地に向かうためには、林を抜け花畑を必ず通らねばならない。

花は定期的に手入れをするが、基本は放置されている。広すぎるからだ。

花畑を管理するために何人も足を踏み入れ、土を固くすることは好ましくないからだ。


そして私はそこから、何本かの花を摘み取らせてもらうべく屈んだ時。

通ってきた道の草木の辺りから、枝がパキリと割れる音がした。やはり木々の下の部分の雑草を生やし放題にするべきではなかったな。

人が屈めば収まるくらいには隠れられてしまう。


私は外に出るときには必ず腰から下げている剣を握っり、相手を威嚇するように声を発した。

久々の刺客や暗殺の類いの人間だろうか。



「誰かは知らないが盗み見とはいい趣味だな。素直に謝るのなら手荒くはしないぞ?」



――ガサッ。

隠れていた者がその場からゆっくりと立ち上がった。



「すみません…ロシュさん。後をつけるつもりはなかったのです」

「ゼイラルだったのか…」



ゼイラルは謝罪を口にした。

彼だと分かったなら剣を抜く必要はないため、私は剣から手を離した。



「後をつけるつもりはなかったのですが…その。やはり女性の夜の独り歩きは危ないですから」

「ははっ。女性と分かったからにはそう思うのは当然だな。心配ありがとう。だが、ここまで家が近いなら誰かしらは駆けつけるがな」

「叫んだりすると声が届くのですか?」

「いや。出掛ける際は必ず誰かが双眼鏡でこちらを見ているからな」

「双眼鏡で…」



設置型の双眼鏡は屋根裏部屋に置かれており、周りを警戒するには持ってこいの場所となっている。騎士寮などにももちろん存在している。

子供の頃は周りに騎士がいない代わりに遠くから見られていると思うと、そちらの方が視線が気になっていたものだが、さすがにもう慣れた。



「あぁ。今は…多分サジリウスが見ていて、実働にはレオが出てくるだろうな……あ」



言葉にして気づくとは。

ここはちょうど木々があり、ゼイラルのいる位置は屋根裏部屋から死角となっているはずだ。



「どうかしましたか?」

「いや。多分だか、私が1度剣を抜きそうになったのを見ていたはずだからな。レオ辺りが――」

「っ!?」

「ゼイラルだったんだ」



言葉を続けようとした時にはすでにそのレオが、ゼイラルの肩に手を置いていた所だった。


その顔は、雰囲気は少なからずゼイラルに警戒の目を向けていた。



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