84.距離感
視察中……
視察後。
最後の方は街の店舗のある通りなどを中心に見てまわり、その途中に目星をつけていたアクセサリー店へと来た。
「ベガ。ここだ」
「はっ。では私は外で――」
「待つな。一緒に入れ」
「はい…」
店に入らず外で待とうとしたベガの腕を引き、中へと入った。
前にも同じようなことがあった時に聞いた話だが、ベガが入りたがらないのは騎士として、主人のプライベートの邪魔になりたくないからだそう。
だが、外に待たせていると思うとそちらの方が気がかりになる、と言えば大人しくついてきてくれていたのだがな。間を開けるとまた外で待とうとするから心配だ。
…ベガが女性に絡まれ、あわてふためいている姿が想像出来て。総代の奥さんから聞いた話だが、顔も良くて押せばデート出来そうな雰囲気らしいからな。
それを本人が真摯に受け取らないのも心配になる原因だ。
「失礼。これの色違いはありますか?」
「は、はい!あります!今、お持ちしますねっ!」
「よろしく頼みます」
女性店員はそういうと裏へとはけていった。
しかし…人見知りで恥ずかしかったのか?
「……何故か顔を赤らめていたな」
「それはロイ様を男性と勘違いされているのでしょう。距離を近づけ話されたら、若き女性は心打たれるでしょう」
「そんなに近かったか?」
「はい。ひと1人入るくらいしか空いておりませんでした」
そんなに近かったのか…私としては普通に頼んでいたつもりだったのだがな。
「早く見たいという気持ちが前に出ていのかもしれんな」
「物理的になってしまっていましたね」
「あぁ。今後は気をつけよう」
裏から戻った店員はほんのり顔を赤らめていたので、丁寧に私が女性であると言っておく。
相当驚いた様子だったが、
『かっこいいことに変わりないのでっ!またご利用くださいますかっ?』とあまり気にし様子はなかった。
それからしばらく店内を散策した後。選んだ品を買い、店を出た。
紙袋4つ分となってしまったが、いつもよりは少ないので、私とベガで2つずつ持ち馬車へと戻った。
帰りの馬車の中で、街を見て聞いた様子を荒く書き記していく。
理由は数十分で家についてしまうから。
重要性と要点だけ書いておかないと忘れるやもしれないからな。綺麗に書くのは執務室でで良いだろう。
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