83.専属騎士の成長を感じる
話も終わり、私達は思い思いの行動に移った。いわゆる自由時間だな。
私はまた執務室に……というわけではなく、専属騎士らが休みから復帰したので、街の方まで視察に出る。
「ロイ様、おはようございます」
「あぁ、おはよう。朝食は済ませたか?」
「はい。もちろん」
馬車を引いてきたベガに挨拶し、馬車に乗り込んだ。
本当ならレオが同行するはずだったが、そろそろライラの勉学も再開しなければならないため、残ってもらった…というよりは、そもそも今日は屋敷周辺から離れる気はなかったの方が正しいな。
歴史はやはり文章量が多く覚えるのも大変なため、予習も欠かせなくなってくる。
1週間という自主勉強期間の成果を、ライラはレオに示さなければならない。
その他の勉学は午後に3つ回してある。ランスはそれに付き添うようだ。
馬車に揺られること数十分……。
街の停留所に馬車を止め、まずは総代へと挨拶に向かう。街の事を聞くならば、総代に聞くのが最適だからな。
総代の奥さんに出迎えられた私達は、街の経済状況、治安、補修工事などの事を話し合っていく。それが終われば街に出て、視察となる。
「ロイ様。今日もお買い物をなされるのですか?」
「ランス達客人もいるしな。手土産くらいはな」
「…はい」
総代の家を出るとベガが質問をしてきたので返答すると、少し落ち込んだようすになってしまった。
「どうした?暗いな」
「いえ…」
ふむ。買い物の話をして落ち込んだのなら…と、ベガの考えを予測してみた。
「・・・荷物が多くなるのを気にしてるのか?」
「申し訳ありません、ロイ様。私はレオより力持ちではないので…何回か馬車を往復させてもらわなければならなくなると思います」
確かにレオは私の買った荷物を1度に持ちたがる。『持てるから持ってる。持てなくなったらいうから』と言って、結構な量でも持っているのをベガは見たのだろう。
私が無理に大量に持たせて歩かせていると見える、と街の者に言われてからは私も買う量を減らしたし、レオもかさばって見える量になったら言うようになったからな。
「そんなことを気にしてたのか。レオが異常に持ちたがるだけで、本来なら私も持つかベガが言ったように馬車に積みに戻るのがいいに決まっている」
「レオより年上なのに力がないなんて…情けない限りです」
「剣術はベガの方が上だろう?」
「いえ。最近は気を抜くと負けてしまいます。実力的には互角でしょう」
「そこまでか」
「はい」
ベガの口ぶりからレオの成長を感じざるを得なくなった。
私も剣術で負けるかな?
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総代とは。
街のまとめ役のこと。市長や町長、村長などの肩書きのようなもの。
町長はあるけれど『街』のとなるとなかったのでこの小説内では『総代』となります。
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