76.分かること。分からないこと。
予想通りアリエスはダイニングで紅茶を作っていた。
「ご苦労様です。ロイ様」
「あぁ」
「お手紙は5通が貴族の方から、15通が領民の方からでした」
「分かった」
私が席につくまでにアリエスとそんな会話をした。
「アリエス。あいつはどうなったの?……(沈めた?」
「ゼイラル様ならきちんと浴室までお連れしましたよ……(今回は見逃しました」
私が紅茶に手をつけ始めた時、横でレオがアリエスにゼイラルのことを聞いていた。
私も気になっていたから聞いてくれてよかったと思ったが、2人の言葉の最後が小声なり喋っていたことは、聞き捨てならなかった。
「2人とも聞こえているぞ」
「「申し訳ありません/すみません」」
2人は頭を下げ謝った。
「何がそんなに気にくわないのかは知らないが、命を脅かしたり、心に傷を負うようなことはするな」
「…はい」
「申し訳ありませんでした」
……私も人のことは言えないな。心に傷を負うようなことをした後だ。
私のような二の舞をさせたくはないので、くぎを刺しておく。
だがそろそろハッキリさせないとな。
「一応聞くが、ゼイラルの、いや。客人らのどこが気に入らない」
「気づいてたんだ」
レオとアリエスは、ほんの少しだけ驚いたようだ。
「当たり前だ。何年も共にすれば視線や雰囲気である程度は分かる」
特にこの2人はゼイラルら客人と出会った時から何故か警戒していた。最初は異国人の魔法というものを使える珍しさでかと思っていたが、野営した辺りで確信になった。
ベガはそんなことはなかったのにな。
「気に入らないわけじゃない。ただ、ロイ様に忠誠を誓ってもない男は危険なだけ」
「それなら領民の男は皆、レオに取っては警戒対象なのか?」
「…それは多すぎ」
「ロイ様。私達が対象としているのは、位や発言力のある者達です。彼らは恋愛をしたことのないロイ様を、たぶらかす者になりうる存在なのです」
レオの意見に問いをしたが、アリエスの援護が入った。
「そんな認識で今までいたのか?」
確かに。恋愛など私に取っては夢物語に近い。そんな私が男にたぶらかされるとしたらそれは、『うぶ』だから心配だと2人はいっているということか?
「僭越ながら、そうですと言わせていただきます」
「俺もアリエスに同意意見」
まさかそんなことを思っていたとは…何年も共にして今、気づくとは。
そういえばいくつか心当たりがあるような…あぁ、ある。あるな、心当たりが。
だが、それだとしたらもう警備と変わらんから、気づかなかったぞ……。
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読書ありがとうございました(⌒‐⌒)




