7.美男子と美人
夜。
料理の準備を終えた私は、メイドと執事達が飾りつけをしているであろうダイニングに向かうため廊下を歩いていた。
ライラとレイラの誕生日パーティーは、スロウ達が料理を全て作り運び終えたら始めるつもりだ。
我が家での当日の誕生日パーティーは、身内のみで行うものとしている。うちでは使用人は皆、身内という認識で生活しているが、誕生日が近づくと毎年断りの手紙と招待状を作るのが大変である。
そのため誕生日当日を断る代わりに、誕生日から数週間後に我が家で改めて誕生パーティーを開くのだ。
断る際に招待状を送り招くのが、決まりのようになったらしい。
招待者達が勝手に広めたものだが、何故断ったんだと詰め寄られるよりはマシだと思い、続けている。
階段から降りてくる、
――黄土色髪に黄緑の瞳、白いブラウスに《薄い灰色のコートと白のパンツの騎士服》を着ている――
レオは私の騎士や従者、歴史講師と色々と勤めてくれているものだ。顔立ちは家に勤めているもので1番の美男子らしい。レイラ情報だ。
私はレオの近くまで行くとさすがに気がつき、振り返ったので言葉をかけた。
「レオ。今日買った荷物はどこに運んだ?」
「アリアスに頼んで、ロイ様の部屋に運ばせました」
今日街に出掛けたときにずっとそばにいたレオは、買った物を私の部屋に運んだと言う。
2人へのプレゼントが入っているのを知ってて、私の部屋に置いてきたのか?
「これからダイニングでライラとレイラの誕生日パーティーなのだぞ?」
「そうですね……。そういえばライラ様とレイラ様のプレゼント…買われてましたね」
「今、思い出したのか?」
「申し訳ございません」
「はぁ。まぁ、私も指示しなかったのも悪かった。…取ってくる」
「はい」
レオの忘れっぽさに最近拍車がかかってきている……。まだ20代のはずだったが……。
そう考えながら私は自室に向かうと、ライラが着替え終わったのか部屋から出てくる所だった。
「あ。おとうさま!」
「ライラ。着替え終わったのか」
「はい!似合ってますか?」
「もちろんだ」
ブラウスのフリルが少し多い気がするが、似合ってない訳じゃない。
「良かった」
「良かったです~」
ライラの後ろから部屋を出てきたのは、
――水色の髪にクリーム色の瞳でメイド服を着ている――
メイドのクエリア。
彼女はこの屋敷でのレイラの専属メイドと服の制作にせいをだしている。こちらは1番の美人らしい。ライラ情報。
「クエリア。また服を作ったのか?」
「だって~!ここのお給金が良すぎて材料をたくさん買えるようになったから、作りたくなっちゃうんです~」
クエリアが駄々をこねる子供のように身体を揺らすと……大きめの胸が揺れた。
・・・。別に。私は。気にしてない。
「おとうさま。俺はクエリアが作った服で満足してます。むしろ、他で買ってもらうより俺達の好みに合わせてくれるので、気に入ってます」
…そこまでクエリアの作った服を気にいっているとは。それにライラは『達』と言った。
つまり、レイラも同じ気持ちなのだろう。
「も~!ライラ様は誉め上手ですねぇ~!ロシュ様も、誉めてくれていいんですよ~?」
「…後日、給金とは別に仕立て代を渡す。これからもライラとレイラに服を作ってやってくれ」
「ロシュ様のもですよね~?」
クエリアは私のも作るというが。
「私のはバルナに頼んでいる」
「まだ母の手作りなんですか~?私が作っても同じですよ~?」
クエリアは、メイド長バルナの娘なのだ。
2人の他にも、騎士やメイドに家族や姉妹で使えている者も多くいる。
「クエリア。君は、私のドレスやワンピースしか作らないだろう?」
「だって、ロシュ様は女の子なんですから~ズボンなんかばかりじゃダメですよ~」
「何を着ようと私は自由だ。それに女の子らしくとは1度も思ったこともないしな」
「え~」
クエリアから『そんな~』と落胆するような声を最後に、私はライラ達と分かれ自分の部屋にプレゼントを取りに向かった。
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