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69.また機会はある


屋敷へと運んだ3人をケアしたサジリウスに、イブランは淡々と怒られていた。


ただ、ライラとランスはそこまで疲労が溜まっていないとのことで、ケアされたのち、ぎこちなくではあるが、歩くことが出来ていた。

そのため、汗をかいた身体を洗うため風呂に向かった。



「とうさんは来なくても大丈夫ですから」

「そうか…」



私が洗ってやると言い出すことを予測してのことだろう。

……いう前に断られるのも少し悲しいな。






夕食は昼と同じようになったが、話の内容はイブランが容赦なかったという話で、ある意味盛り上がった。


デザートも美味しく食べ終わったライラとランスは、部屋へと戻っていった。さすがに疲れすぎたのだろう。


私はダイニングに残り、デザートの後の紅茶をゆっくりとしていた。



「あれ?ロシュ様?部屋に戻らなかったんすか?」

「あぁ。もう少しいる」

「そうすか!」



テーブルの上に残された食器を片付けに来たサヤンキは、私がまだ残っていたことに驚きつつも、せっせと片付けを開始した。



「いや~今日もランスくんが全部食べてくれて良かったす!」



空になった器を見て、ニヤニヤと話すサヤンキ。



「そうだな。美味そうに食ってたぞ」

「へへへ~。作ったかいがあったす!」



そう、今日の夕食を最初から最後まで作ったのはサヤンキだったのだ。スロウは野菜を切ったりなどの手伝いだけをしていた。


ランスと仲良くなったサヤンキが、作らせてほしいとスロウに頭を下げ、それをしぶしぶであるが、受け入れたと言っていた。


私がこの話を聞いたのは、ライラとランスが風呂に入っている時。

スロウが『料理人としてまだまだですが、やらせてみてもいいと思ったんですよ…』と、呆れつつも期待の顔を滲ませながら話していたのを覚えている。



「スロウはなんといってた?」

「まだまだだっていわれたっすよ。サラダなのに味付けが濃すぎる、焼きが甘いって…後半からはスロウさんの指示で動いてたっすから…」



情けないなぁというように笑うサヤンキは、先程の元気が無くなっていくようだった。



「スロウに1人前と認められねば、今後も包丁と盛り付けしかやらせてもらえないぞ」



スロウも前任者にそう指導されていたしな。



「そうっすよね…スロウさんに口を挟まれなくなるのは遠そうっす」

「そうだな。だが、1度は任されたんだ。また機会はある。頑張れよ」

「はい!頑張りまっす!んじゃ、失礼します!あ、そのティーカップは置いていっていいっすから、あとで片付けとくんで」



私が言った『機会はある』という言葉に、サヤンキから次は頑張ろうという意志が見えた。



「あぁ」



サヤンキは元気よく調理場へ帰っていった。


私もしばらくしたら部屋に戻ろう。



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